ビジュアルと女王は文句なしで素晴らしい 映画“スノーホワイト”

グリム童話の白雪姫をアレンジした物語。ビジュアルと衣装や甲冑のデザイン、女王役のシャーリーズ・セロンは素晴らしいが、ストーリーの薄さと肝心な主役の存在感の弱さが残念。

【ものがたり】
スノーホワイトは美しい心を持ったお姫様。早い時期に母親を亡くし、王である父親は謎の軍隊との戦いで敵に捕らえられていた女ラヴェンナを助け妃にします。

しかし、ラヴェンナは王を殺し、国を乗っ取り、スノーホワイトを城に幽閉します。

女王ラヴェンナは魔法の鏡に「世界で一番美しいものは誰?」と問いかけ、鏡は「もちろんあなたです」と答えます。ところがある時から「やがてあなたよりも美しい娘が現れ、その心臓を食べれば永遠の若さと美しさを手にすることができる」と告げます。

その娘がスノーホワイトであることを知った女王は、スノーホワイトを殺そうとしますが、スノーホワイトは闇の森へ逃げます。

女王は闇の森に詳しいハンターを雇い、スノーホワイトを追いますが、女王の思惑が気に入らないハンターはスノーホワイトと一緒に女王から逃げます。

女王の殺戮に心を痛めたスノーホワイトは、女王を倒して国を取り戻すため、反乱軍を率いて女王に立ち向かいます。

 

【映画を観て】
ストーリーは伏線になるのかなと思ったシーンは回収されることもなく、人間関係の描写も希薄で意外と厚みがなかったです。

例えばラヴェンナは幼い頃に母親に復讐を託されますが、それがストーリーと直接結びつくことがないように思われました。

ラヴェンナの弟は姉の手足となりスノーホワイトを追跡しますが、どんなに尽くしても報われないことへの憤りなんかももっと色濃く描かれても良かったのではないかと思います。

またスノーホワイトと行動を共にしたドワーフの一人は女王の追手に殺されてしまいます。ドワーフの長老は「スノーホワイトは生命の源である」と言っているにもかかわらず、傷ついたドワーフを助けられなかったのではあまり説得力がない感じがしました。

一番違和感があったのは、女王がスノーホワイトにリンゴを食べさせ呪いをかけるエピソードでした。(最初は死んだと言っていたのに、途中から呪いにかかっているに変わってるような記憶がw)

女王はそれまで弟や手先を使ってスノーホワイトを追跡していたのに突如、スノーホワイトの目の前に現れるというのは唐突な感じがあります。

また、幼馴染のウィリアムのキスでは何も起きなかったのに、ハンターのキスで目覚めます。だからといって、その後スノーホワイ トとハンターの間で何かあるでもなし、ウィリアムとハンターがスノーホワイトを取り合うでもないところは、元が有名なエピソードだけに肩透かしを食らったような感じです。

女王が自分を追ってくることで傷つく人々を目の当たりにして心を痛めているというのは伝わってきますが、女王を倒そうとするたくましさを身に付けるプロセスをもっとしっかり描いたほうが良かったかと思います。

そんな感じでストーリーは弱かったのですが、ビジュアルは文句なしに素晴らしいと思います。

鈍色を基調にした女王が乗っ取った城や支配する国、闇の森と、それに対比した色鮮やかで生命感溢れる妖精の森のビジュアルは素晴らしいと思います。

また衣装や甲冑のデザインはなかなか凝っていて、よりファンタジックな世界観を醸し出していると思います。

見 所の一つは女王を演じたシャーリーズ・セロンの存在感だと思います。美しさを維持するために若い娘の生気を吸い、スノーホワイトの心臓を手に入れるために は殺戮も破壊もいとわないしたたかさもあれば、魔力が弱まり醜くなることへの恐怖にかきたてられる様子をよく演じていると思います。

鏡に「この世で一番美しいものは誰?」と問いますが、どうみてもスノーホワイトよりも女王のほうが美しいと思ってしまいます。でも鏡が言う美しさとは「心の美しさ」ということだと思えば、まあ納得ですよね。

ス ノーホワイトを演じたクリステン・スチュワートのスレンダーなルックスはいいと思います。かなり好みです。
残念なことに若くてアクのない役柄のせいなのか、シャーリーズに 比べると存在感が弱い感じがしました。しかし、妖精の森で生き物たちと触れ合シーンは、場面を追うごとに輝きを増していき、目を見張るものがありました。

ビジュアルと女王の存在感は文句なしに凄いのですが、薄くてバラバラなストーリーと主人公の存在感が弱いところは残念でした。

 

2012年06月16日 T・ジョイ新潟万代にて鑑賞

おすすめ度:★★★☆☆2.5
三部作になるかもしれないという噂がありますが、こんなんで大丈夫なの?

 

Snow White & the Huntsman
監督:ルパート・サンダース
脚本:ホセイン・アミニ イヴァン・ドーハーティ
原作:グリム兄弟『白雪姫』
出演者:クリステン・スチュワート シャーリーズ・セロン クリス・ヘムズワース サム・クラフリン イアン・マクシェーン
音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード
2012年 アメリカ作品

リンク
“スノーホワイト”公式サイト
スノーホワイト@ぴあ映画生活
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