The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

“スーの孤独な戦いを外から支えた夫の愛情と希望を捨てない姿に感動”

ビルマ建国の父と民衆から敬愛されるアウンサン将軍の娘アウンサンスーチー(ミシェル・ヨー)は、留学先のイギリスで知り合ったマイケル・アリスと結婚し、子どもを設け幸せな生活を送っていた。

1988年、母を看病するために久しぶりに生まれ故郷のビルマに戻ると、ビルマでは軍部が独裁を敷いており、学生民主化運動を武力制圧する凄惨な光景が広がっていた。

アウンサン将軍の娘の帰国を知った民主主義運動家たちは、スーチーに選挙への出馬を懇願する。

不安を抱きつつも民衆を眼前にして、立候補を決意するスーチー。

それは、家族と引き裂かれた辛い軍事独裁政権との闘いの始まりだった――。

【映画を観て】

イギリスの男性マイケルと結婚し家庭を築いていたところ、母親の入院でミャンマーに帰り、その時に民主化を訴えデモをする学生たちに対して、軍事政権による虐殺行為を目の当たりにするのです。

これをきっかけに、父親の志を受け継いで民主化を進めようという流れになります。

ミャンマーに帰ってきたときから軍事政権にマークされていたスーは、一度国外に出れば二度と帰ってこないというのが明らかです。軍部は彼女が自分たちの政権を覆すことを恐れ厳しく警戒し、民主化を訴えるスーを支援する人々との接触を断ち切るため自宅軟禁に追い込み、彼女の孤独との戦いが始まるのです。

軍事政権の圧力に屈せず、戦いい続けるスーの意志の強さ、家族や祖国への愛情の強さを、時折映し出される美しいミャンマーの風景が表しているようにも思います。

イギリスにいるマイケルは、子どもたちとともに時折自宅軟禁中のスーのところを訪れます。

軍事政権はスーを厄介払いしたいので、スーを連れて帰ることはたやすいことです。

しかし、マイケルは自分たちの家庭のことよりも、国のために戦えとスーを支えるのです。

スーがミャンマー国内で孤独や軍事政権と戦っているところ、マイケルは各国が外交でミャンマーへ圧力をかける協力を得るために呼びかけたり、彼女の民主化への活動が世界的に評価されれば、世界を巻き込むこともできるのではないかと、ノーベル平和賞への受賞に向けても尽力します。

しかし、マイケルはガンに侵され先はそれほど長くないと宣告されます。それでも気丈に、時にはユーモラスに振る舞い、スーに会えること、スーが父の遺志を継いで国を変えることへの希望を捨てることはありませんでした。

スーの意志の強さも本当に凄いと思いますが、なかなか連絡も取れず会うこともままならないのに、彼女を支えるマイケルの姿は素晴らしいです。

スーはノーベル平和賞の受賞式への出席はかないませんでしたが、長男のアレクサンダーのスピーチの後に、楽団がパッヘルベルのカノンを演奏し、ラジオでその様子を聞いていたスーはその演奏に合わせてピアノを弾くところは感動しました。

40年ぶりの選挙で民主化を唱える勢力は軍事政権に圧勝しますが、それでも軍事政権はスーの軟禁を解くことはなく、運動家などを捕らえ拷問や強制労働だけじゃなく、彼らに地雷原を歩かせて殺すなど理不尽でずる賢いです。

マイケルのガンはいよいよ末期になりますが、軍事政権はスーとマイケルの接触も断ち切ろうと、ビザの発給を断り続け、結局彼は最後の願いであるスーに会うことがかなわずこの世を去ります。本当に残念でした。

ミャンマーの民主化は進んではいるようですが、それでも軍事政権の権力は根深く、未だ民主化を訴える活動家たちは弾圧されているということです。今までアウンサンスーチーのことはほとんど知らなかったので、彼女のことを知るいい機会となった映画でした。

スー役のミシェール・ヨーはスレンダーで美しく、スーの意志の強さや家族や国への愛情の深さをよく表す縁起だったと思います。

また、リュック・ベンソン監督はド派手でスピード感あるアクションものの映画ばかり作るのかと思っていたら、このような映画もしっかり作れるというのはさすがね。

 

2012年10月12日 T・ジョイ新潟万代にて鑑賞
おすすめ度:★★★★☆
スーチー女史とか言うけど、アウンサンスーチーって苗字と名前の区別がなくて一語で表記するんだってね。

原題:The Lady
監督: リュック・ベッソン
脚本:レベッカ・フラン
音楽:エリック・セラ
撮影:ティエリー・アルボガスト
出演:
ミシェール・ヨー:アウンサンスーチー
デヴィッド・シューリス:マイケル・アリス
ジョナサン・ラゲット:キム・アリス
ジョナサン・ウッドハウス:アレクサンダー・アリス
ベネディクト・ウォン:カーマ
スーザン・ウールドリッジ:ルシンダ・フィリップス

2011年 フランス・イギリス作品

リンク
“The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛”公式サイト
The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛@ぴあ映画生活
象のロケット

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