ヴァンダル画廊街の奇跡 2

【あらすじ】

父の遺志を継ぎ『誰かの心の中の絵』を描くため、世界を旅するエナたち『ヴァンダル』一行。

しかしそんな彼らをあざ笑うかのように、過激派の反政府組織『DEST』が絵を用いたテロ活動を実行に移し始める。

絵を単なる政治闘争の道具にする彼らを許せないエナたちは、それを妨害するために奔走するが…突如として彼らの前に現われた、殺されたはずの『DEST』の指導者UMAを名乗る少年は…エナと似て非なる光を宿した、赤い『眼』を持っていたー!!(「BOOK」データベースより)

その他にもスイスでのベルンでの時計職人と出会う話、ロンドンのサザビーズ・オークション・ハウスに出品されたピアノのオーナーとそれにまつわるハルクの過去の話し、規制対象の絵を師匠から背中に刺青を施された青年の話も収録されています。

 

【感想】

時計職人、ピアニスト、刺青師の話はヴァンダルらしいエピソードで良かったと思います。

エナがベルンの時計台を眺めているときに、時計台の世話をする時計職人と出会い、ハルクが戦友でありヴァンダルのスポンサーでもあるロフマットからもらった修理を依頼に訪れます。

彼の工房には父と母が作りかけのまま残した究極の時計と呼ばれるトゥールビヨンを組み込んだ時計が保管されています。

ルーカスが都市開発のため時計台を止めるまでにトゥールビヨンを完成させ、時計台が止まる瞬間に母親の思い出の絵が描かれるところはとても美しく感じます。

ロフマットはエナを連れてサザビーズ・オークション・ハウスを訪れます。そこでのオークションの目玉は97の鍵盤を持つピアノ、ベーゼンドルファー・インペリアルでした。

そのピアノのオーナーのピアニストは戦争中にハルクと出会い、とある約束を交わします。

そのピアニストは引退し長い年月が経った後でもハルクに淡い気持ちを抱いていたのはロマンチックでした。

それはさておき、敵対するDESTとUnknownと名乗る少年との絡みや、ゲティスバーグやカッツェからの逃走劇は、武力衝突がないというだけではなく、今ひとつ緊迫感が足りない感じがして残念に思います。

また物語を読み進めるにつれ、イラストのハルクは若々しすぎる感じがしますし、カッツェは美人というより幼すぎる感がしてちょっと違和感を感じます。

DESTは行方不明のエナの母親について何かを知っていそうで、次の巻で活動を再開したDESTの目的や母親の謎などがどう明かされていくのか期待します。

 

2012年10月10日読了
★★★☆☆3.5

ヴァンダル画廊街の奇跡 2
美奈川護 (著), 望月朔 (イラスト)
アスキー・メディアワークス 電撃文庫
2010年05月10日発売

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