劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編 始まりの物語

“魔法少女になることの意味を知った少女は何を想うのか”

【あらすじ】

中学二年生の女の子、鹿目まどかは、自分のことをどんくさくてこれといった特徴もないと思っている、どちらかといえば地味目でごく普通な女の子。

まどかは専業主夫の父と仕事バリバリの母とまだ幼い弟と暮らしています。

彼女の親友は活発な美樹さやか。さやかには天才少年ヴァイオリニストと言われながらも事故で手が動かなくなり再起不能となってしまった幼馴の恭介に想いを寄せています。

さやかは学校の帰りに入院している恭介にあげるCDを選びにまどかとショッピングモールへ立ち寄ります。

そこでまどかは見知らぬ者から「助けて!」という声を聞き、その声をたどっていくと、傷ついた白いイタチのようなウサギのような動物(=キュウべえ)を見つけます。

まどかと彼女の後を追ってきたさやかは不思議な空間に飲み込まれてしまい、魔法少女の巴マミに助けられます。

マミに助けられた後、まどかとさやかはキュウべえから“僕と契約して魔法少女になってよ”と言われるのでした。

また、キュウべえは“魔法少女になれば何でも一つ願い事を叶えてあげる”とも言うのでした。

 

【映画を観て】

この映画は前編・後編の二部構成になっています。自分はTV版を一回だけ観たことがあり、前編の方はあるところまでTV版とほぼ同じという感じです。

映画を観た印象では、日常の描写では光と影の表現がとても繊細であり、劇団イヌカレーというアニメ作家グループが手がける魔女の結界や魔法に関係するシーンは手書きのイラストや写真などをコラージュし現実とはかけ離れた空間を奇抜な映像で描いていて見応えがありました。

TV版を最後まで観ているので、ほむらがまどかに対して言ったことや、時折見せる苦悶の表情になるほどと思うところが多くありました。

この物語のぶっとんでいるところは、序盤からまどかやさやかに魔女との戦いの入り口へ導いた魔法少女である巴マミが死んでしまうことと、主人公のまどかが終盤まで魔法少女にならないというところですね。

魔法を使って悪と戦う勧善懲悪な物語や、魔法で人々に幸せをふりまくというような、私達がイメージとして持っている“魔法少女モノ”とは違って、とにかく絶望ばかりという感じは常識を覆していると思います。

魔法少女たちはそれぞれ願い事を叶えてもらうことと引換に魔法少女になるのですが、前編ではマミとほむらの願い事が明らかになっていません。

独りぼっちで戦ってきた巴マミはまどかやさやかという友達ができたことで張り切っていた矢先に魔女に食べられて死んでしまいます。そのあっけなさがあるから、まどかやさやかは魔法少女になることに悩むのでしょう。

TV版でもお気に入りはさやかです。彼女は恭介の手が動いて再びヴァイオリンを弾けるようにということを願って契約します。

マミが死んだショックや、悲嘆する恭介にきつく当たられたことから、感情に流されて契約してしまったようにも思います。

しかし、恭介の手の回復はさやかの運命が代償になっていますが、恭介ですらそのことは知らず、さやかと恭介の距離は縮まらないのです。

そんなさやかはどことなく報われない感じを抱いてしまったのでしょうね。そこに、追い打ちをかけるように別の街からやってきた魔法少女の杏子がさやかを挑発し、さらには友人のひとみが恭介に告白します。

そして、さやかは自分たち魔法少女は魂と肉体が切り離されていることを知り、魔法少女や自分の存在に絶望します。その絶望をふり払わんばかりに、まるで自分を破滅に追い込むかのように魔女退治にのめりこみ、魔力の消費で魂が穢れていく様子は、とても痛々しいのです。

でも、その純粋なさやかの感情は魅力的です。

また、マミの死や、ほむらの忠告、さやかと杏子の衝突、そしてさやかの暴走を次々とまのあたりにするまどかはますます悩みや不安が大きくなります。

そんなまどかにアドバイスをするのが、バリキャリのお母さんなんですね。若いうちに思い切って間違えてみたらいいんだと言うお母さんイケメンすぎだよ。

また、まどかがほむらに対して“どこかで出会ったような出会わなかったような”というデジャヴのような感覚の正体は何なのでしょうね。

観ていてイラっと来るのがキュウべえの言動です。彼(?)は極めて論理的・合理的な思考しか持たないため、人間の気持ちや感情を理解することができないのです。

悩んだり絶望に追いやられたりしている少女たちに、理詰めで話をするキュウべえにはちょっとイラっと来ちゃいますよね。逆に言えば彼の言動があってこそ、より少女たちの感情が引き立てられているとも言えます。

最後の方でキュウべえが“人間の世界では成長途中の女の子と少女と呼ぶ。魔法少女は成長すれば魔女になる。”というようなことをつぶやきますが、一体何を目的としているのでしょうね。

後編はおそらく強大な魔女“ワルプルギス”が登場するのでしょうけど、ほむらの願いは実現するのか、願い事を叶えたはいいがそれと引換に大きな絶望を背負ってしまったさやかや杏子、あっけなく死んでしまったマミに救いはあるのか、そしてまどかはどうするのかなど展開が楽しみです。

2012年10月06日 T・ジョイ新潟万代にて鑑賞

おすすめ度:★★★☆☆3.5
まどかがノートに書いた魔法少女の絵はキャストの悠木碧さんが描いたそうです。なんか可愛らしいですよね。

 

総監督:新房昭之
監督:宮本幸裕
脚本:虚淵玄
キャラクター創造・原案:蒼樹うめ
異空間設計:劇団イヌカレー
音楽:梶浦由記
出演:悠木碧(鹿目まどか )、斎藤千和(暁美ほむら)、喜多村英梨(美樹さやか)、水橋かおり(巴マミ)、野中藍(佐倉杏子)、加藤英美里(キュゥべえ)
2012年 日本作品

リンク
“劇場版 魔法少女まどか☆マギカ”公式サイト
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 前編/始まりの物語@ぴあ映画生活

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