ヴァージニア

“現実と夢が曖昧な世界に美しい映像で引き込まれます

【あらすじ】

オカルト作家のボルティモアはサイン会でアメリカの片田舎の小さな町を訪れます。

彼は数年前に娘のヴィッキーをボート事故で亡くし、妻やエージェントからは次回作を書くように催促されています。

その町には7つの盤面を持つ時計塔が建っていて、それぞれが違う時間を指しています。町の人々おはその塔は呪われているといいます。

また、湖の対岸にはフラミンゴと呼ばれる人物がリーダーとなり、気ままな生活を送っていて、町の人々は彼らを悪魔と呼んでいます。

ボルティモアは最近胸に杭を打ち込まれた身元不明少女の死体が発見された事を知り、ミステリー好きの保安官から、この事件を元にした小説を共著しないかと持ちかけられます。

その晩にボルティモアは町外れの森を歩いているとVと名乗る少女に出会います。彼女は自分の娘が亡くなった頃と同じ12~13歳位だと言います。

そして、町の人から作家のエドガー・アラン・ポーが宿泊したチカリング・ホテルの存在を知ります。チカリング・ホテルのことを調べるとそこでは1950年代に12人の子どもが殺されたという事件が起きていたことを知ります。

ボルティモアの夢には少女Vと作家のエドガー・アラン・ポーが現れ、かつてこの町で子供たちが犠牲になった事件と、身元不明の少女の死の真相へと彼を導いていきます。

 

【映画を観て】

冒頭のトム・ウェイツのナレーションはミステリアスなドラマが始まることを上手く表現しみる人を引き込んでいますね。まあ、英語はわかりませんでしたが、雰囲気がありますよね。

原題は“TWIXT”は◯◯の間でという意味があるようです。この物語はタイトルの意味するように夢や妄想と現実の境界がとても曖昧な感じがします。

事件の経過や真相は映画を観て確かめて欲しいので、ここでは触れないでおきます。

物語はボルティモアの視線で描かれていきます。特にVやランポーが登場するのは彼の夢なのか、物語を作るための想像なのか、あるいは彼の本の内容なのか、はたまた現実にボルティモアが体験したことなのか曖昧です。どうとでも受け取れるといってもいいかもしれません。

この曖昧さというのが7つの盤面を持つ呪われた時計塔に象徴されているのでしょうね。

ランポーに導かれ事件の真相に近づいていくのですが、ランポーからは“此処から先は自分自身を書くことになる”と警告され、物語を更に複雑に歪ませていく感じがしました。

ボルティモアを演じるヴァル・キルマーは、事件の真実に想像や好奇心を馳せていくシリアスさもあれば、エージェントに催促され新作のあらすじを書こうと酒を引っ掛けては一行書いて、納得行かないからと消してしまうというのを繰り返すところはどことなくコミカルですね。Vやランポーが幻想的な存在だけに、どことなくイケてない雰囲気なのが対照的でいいと思います。

Vを演じるエル・ファニングは時に無邪気であり、時には妖艶であり、時には怖さを表すどことなくとらえどころがない役柄ですが、場面場面の雰囲気をよく表していたと思います。特に窓から無言で窓覗き込んで、窓ガラスに指でVと書くところはゾッとするような事件の真相が待っていることを予感させます。

1時間半という比較的短い映画ですが、美しく幻想的であり、どこか廃退的な雰囲気の映像と、夢と現実が複雑に入り組んでいて自由奔放でありながら間延びせず、事件の真相に向けて観る人をとりこんでいくコッポラ監督の手腕は素晴らしいですね。

特に夜やボルティモアが見る幻影や夢の中で、Vやランポー、チカリング・ホテルなどが現れるシーンは月明かりが美しく幻想的な映像です。

そしてモノトーンの映像の中で、ランプの光や血、チカリング・ホテルの床にしかれたカーペットなど部分的に色鮮やかなカラーで表現されているところは映像美を強く印象づけますね。

 

2012年09月15日 新潟・市民映画館シネ・ウインドにて鑑賞(09月20日まで上映)

おすすめ度:★★★★★
登場人物の空間配置をうまく表現している音響もなかなか良くできていると思います。

原題:TWIXT
監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ
音楽:オスヴァルト・ゴリジョフ、ダン・ディーコン
ナレーター:トム・ウェイツ
出演:ヴァル・キルマー、ブルース・ダーン、エル・ファニング、ベン・チャップリン
2011年 アメリカ作品

 

 

【リンク】
“ヴァージニア”公式サイト
ヴァージニア@ぴあ映画生活

コメントを残す