プロメテウス

“「人間はどこからきたのか?」これは人類が抱える普遍的な大きな問いです。しかし真実は知らないほうが幸せなのかもしれない

2089年、エリザベスら科学者のチームはとある山岳地帯の古代遺跡で壁画を発見します。

その壁画には“5つの星を指さす巨人を崇める人類”が描かれています。

このモチーフはそれぞれが交流もなく独自に発展してきた古代文明エジプト、マヤ、メソポタミアなどの遺跡でも見つかっています。

もしかしたらこれは人類の起源に関する重大なヒント(=彼らがエンジニアと呼ぶ人類を想像した人)なのではないかと推測した科学者たちは“ウエィランド社”の宇宙船プロメテウス号に乗り込んである惑星へと向かいます。

2093年、惑星にたどり着いた彼らは、荒野に広がる明らかに人の手により造られた遺跡を見つけ、その奥へと足を踏み入れるのです。

 

あのリドリー・スコット監督の作品だから観ないわけにはいかんだろうということで、公開日(たまたま健康診断等で仕事を休みにしてました)に観に行って来ました。

平日でもあり、すでに先行上映も行われていたため空いてましたw

 

僕は予告編しか観ていませんが、今上映されている“アヴェンジャーズ”とか“トータルリコール”などに比べるとバトルやアクションで盛り上がるというものでもありません。

この映画はもともとは“エイリアン”シリーズの5作目として構想されていたと耳にしたような気がします(真偽は調べていません)。そのためかストーリーは“エイリアン”シリーズをよく知っている人にはカッチリとハマる内容ではないかと思います。エイリアンシリーズをよく知る方ならこのプロジェクトが“ウェイランド社”によるものというだけで期待が高まるのではないかと思います。自分はエイリアンシリーズについてはあまり詳しく知らないのですが、それでもなるほどと思うこともあります。

この映画の主人公は女性の科学者エリザベス(=ノオミ・ラパス)ですが、物語の鍵を握っているのはアンドロイドのデヴィッド(=マイケル・ファズベンダー)といえるでしょう。

デヴィッドは宇宙船内でコールド・スリープのカプセルに入っている科学者たちの世話をしたり、惑星到着後にもいろいろとクルーの世話をしたりもします。しかし、クルーの誰も知らない命令を受けているようであったり、クルーが知らない相手に何かを報告していたり、人間である科学者たちよりも達観していたり、集団で調査にあたっている中でも勝手なことをしたりと、謎めいた存在であるところは、彼だけが誰も知らない“何か”を知っているように思わせます。

また、彼はこの物語で多くの伏線をはっているような感じもします。例えば人間がコールド・スリープ状態の時に、エリザベスの夢を覗き見したり、映画“アラビアのロレンス”を観てそれが気に入ったかのように、ロレンスの髪型や名セリフを真似てひとりごちになります。物語が進むとデヴィッドが口にするアラビアのロレンスに登場するセリフが効いてきます。

ストーリーも意外とうまく作られていて、人間がコールド・スリープ状態にある中、デヴィッドは映画“アラビアのロレンス”を観て、そこに登場する幾つかのセリフが気に入っているウェイランド社役員の部屋にある医療ポッドにエリザベスが興味を示すこと、なんかはラストへ強い伏線となります。

この映画の先の出来事ですが、もしかしたらデヴィッドはエリザベスとたどり着いた惑星で、自分を基にアンドロイドを作り、それが“ブレードランナー”のレプリカントにあたるのかなと思ったら年代的にそれはないみたいですね。しかし人間の記憶や感情を理解しようとアラビアのロレンスを観たりするところは、ブレードランナーのレプリカントが写真を集めていたことに共通しているかのように思います。

エリザベスは不妊であるにもかかわらず、未知の生命体を身篭ってしまいます。このことから終盤ではエイリアンの主人公リプリーのような強さを見せます。その強さは助成が子どもを産んで育てようとするような本能的な強さだと思います。

このプロジェクトはウェイランド社のトップが自分の夢である人類の創造主に会うというのが目的で、余命あと数日のウェイランドはエンジニアに会おうとしますが、結局この惑星には自分が期待するようなものがなかったと力尽きます。

調査隊とその惑星にいた最後のエンジニアが対話することすら出来ず、エリザベスとデヴィッド以外は死んでしまうという不毛な感じもあります。しかし、人類が自分たちがどこから来たのかという謎を解き明かすことや、人類の創造主に触れることは禁忌の領域であり、それが地球上位存在する様々な信仰の根幹になっているのかもしれません。

もし、この惑星でエリザベスたちが人類の起源と接触しその謎が明らかになり地球に帰れたとしたら、人類の創造主を神としている信仰はことごとく崩れ去ってしまうのかもしれません。

終盤でエリザベスはデヴィッドに十字架のペンダントはどこ?と尋ねます。エリザベスは神は人間が接触できるようなところには存在しないということに気づいたのかもしれないです。

惑星の中の遺跡やプロメテウス船内の作りなどはとても凝っています。映像の美しさや冷静な第三者的視線で物語を展開していく雰囲気はいかにもリドリー・スコット監督らしい作品だと思います。

遺跡の中でちらっと映っていた壁画に描かれた生物や、ラストに登場する生物がアレだったりするところはビックリです。

この映画をこれから見ようと思う方は、エイリアンシリーズとブレードランナー、アラビアのロレンスを観ておくとより物語をよく理解できるのではないかと思います。

 

2012年08月24日 T・ジョイ新潟万代にて鑑賞
おすすめ度:★★★★☆
3Dは日本語吹き替え版しかやってなかったのでそちらを観ましたが、剛力彩芽は明らかにミスキャストでした。

原題:Prometheus
監督: リドリー・スコット
脚本:イモン・リンデロフ、ジョン・スパイツ
音楽:マルク・ストライテンフェルト
出演:ノオミ・ラパス、シャーリーズ・セロン、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアース、イドリス・エルバ
2012年 アメリカ作品

リンク
“プロメテウス”公式サイト
プロメテウス@ぴあ映画生活
象のロケット

「プロメテウス」への26件のフィードバック

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  10. はじめまして。ここに映画「プロメテウス」について、知恵袋の質問URLを貼ります。あなただったらどう答えるのか教えてください→http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1393344578

    1. > 藤井美菜さん

      コメントありがとうございます。こちらこそはじめまして。

      リンク先の質問を拝見しました。
      残念ながら僕はこの映画について、細かいところはあまり覚えていないことや、自分の考えを回答としても藤井さんの求めている回答にならないかもしれませんので、ここでコメントさせて頂きます。

      リンク先の質問では2年ちょっとで行ける場所は木星か土星のあたりといっても、宇宙船プロメテウスがどの程度の速度で航行しているのかがわからないため、2年でどのくらいの距離を移動したのかは映画を観た人がそれぞれに想像するしかないと思います。

      木星や土星というのもそれらの想像の一つですし、もっとひねった見方をしたらパラレルワールドに存在する地球そのものなのかもしれません。(この作品の設定に通じるエイリアンシリーズをよく知っている人なら航行速度や方法などご存知かもしれませんが、あいにく自分はエイリアンシリーズはよくわかりません)
      SFでは現実世界の科学観に基づいた設定であることにこだわる場合もあるし、現実ではありえないような設定に基づいている場合の両方があると思います。そこはどのような考えでこの映画が作られているのか僕には分かりませんので、SFだから流してしまうということもおかしいような気もします。

      また、太陽系の半径(厳密には半径とは言わないようです)がオールトの雲までということなら1光年と言われています。35光年(=3.27×19の14乗km)という距離が冒頭での宇宙船プロメテウスの地球からの距離だとすれば、太陽系の外縁部からさらに離れていることになり、物語の舞台は木星や土星のあたりというのはおかしいように思います。

      映画の舞台である2080年代~2090年代の世界や科学技術がどうなっているのかは誰にもわかりませんから、現代の科学的な観点での距離や場所はこの映画の本質とはあまり関係はないのではないかとも思います。

      僕個人の考えはどちらかといえば科学的な意味を持つ数字というよりは、“現代の科学技術や想像では辿りつけないような遠い場所というイメージ”に現実味を持たせるための数字であり、実際にはどこなのかということまでは考えていないのかと思うのです。僕からの回答とすれば質問の中にあるSFだから流してしまうということになるのかと思います。

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