神様のメモ帳3

【あらすじ】
冬に起きた“エンジェル・フィックス”の事件の後遺症で、記憶を失った彩夏が戻ってきた。

ナルミは彩夏と園芸部の活動を再開しますが、どことなく違和感を持ち、うまくやり取りが出来ずにいます。

ある日ナルミは生徒会長の羽矢野薫子に呼び出され、「園芸部は廃部にするから温室を片付けるように」と言われます。

少人数の部は廃部にしようとする薫子に対して監査委員の香坂先輩は「どんなに小さな部でも、そこは誰かの居場所になっている。そう簡単に奪っていいものではない」と園芸部をはじめ少人数の部活を守ろうとします。

園芸顧問の小百合先生はその昔、温室に黒板や机を持ち込んで、放課後になると落ちこぼれそうな生徒をあつめて勉強を教えていたということでした。3学期は休みがちだったナルミと彩香は再び温室で補修を受けることになります。

香坂先輩は“ニート探偵”アリスに園芸部ができる前に起きた、羽矢野友彦(薫子の兄)が不良たちにいじめのような感じでパシらされているときに死亡した事件について調べて欲しいと依頼をします。

調査が進む中で、小百合先生いじめていた生徒の中には元ボクサーでナルミ達が通う高校を中退したニート仲間のテツ先輩がいた事が分かります。

しかしテツ先輩は話のとおりだと何も話さないため、ナルミは「テツ先輩と喧嘩をして自分が勝ったら、テツ先輩がそのことについて知っていることをすべて話す」ことを条件にタイマン勝負に打って出ます。

 

【感想】

ニート仲間のヒロさんと少佐は「テツのことを調査することには協力できないけど、それ以外のことならいつもどおり協力する」と言います。それぞれの内面や背負っている事情については相手が触れてほしくないと思えば干渉は一切しないというドライな面がありながらも、別の部分ではつながりを大事にしているニート達の人間関係は面白いと思います。

この巻のアリスはこれまでよりも可愛さが際立っていましたね。自分の親友と助手が喧嘩をすることになり、心配しながらも罵倒したり、文句を言いながらもナルミとの自転車の二人乗りを求めたりと可愛いですね。他にも、執拗に風呂に入るのを嫌がったり、ぬいぐるみをもふもふしたら目のボタンがとれたと涙目で四代目を呼んだり、ぬいぐるみの写真を取るためだけに値の張るデジカメを持っていたりと、いろいろとダメっぷりを発揮してます。

彩夏にアイスを食べさせてもらっているシーンでは、「子ども扱いしないでくれたまえ、混ぜてくれたら自分で食べるから」と言い放ちながらも、ナルミが心のなかで「混ぜるのも自分でやれよ」とツッコミ入れるところはちょっと笑えますね。

友彦が亡くなったことの真相では、友彦自身の気持ちや中退した連中は自らでっち上げた罪をかぶった理由を知ると、小百合先生がいかに落ちこぼれたちに愛されていたのかしみじみ感じます。

兄が被害者だと思いう思いから、園芸部や温室のことを恨んでいた薫子は、兄の気持ちを知って温室やそこで補習をしていた小百合先生が、兄や兄をいじめていたとされる生徒たちの居場所であり、誰にでも自分たちの居場所を守りたいという気持ちがあるということを知ったのではないかと思います。それは自分が小さい部を配布しようというのに反対する香坂先輩の気持ちの理解にもつながるのでしょうね。

自分自身の判断基準を持たず、勢いや流れで無茶をするナルミに対して、「もっと自分も人も信じろ」というミンさんの助言はうまくは言えないがなかなかいい。

お互いに好意を持っていながらも、元の彩夏に戻って欲しいと思うナルミと、今の自分でナルミとの関係をあらたに築いていこうとする彩夏のスレ違いがもどかしくてよいです。

岸田メルてんてーの表紙のイラストはとても素敵ですし、口絵は面白かったですね。

 

2012年08月09日読了
★★★★★
メルてんてーの絵とやってることのギャップがwwwww

 

神様のメモ帳〈3〉
杉井 光 (著), 岸田 メル (イラスト)
アスキー・メディアワークス 電撃文庫
20008年06月10日発売

 

 

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