人類は衰退しました 7

地球上から人間が勢いをなくし、妖精さんが地球上の「人類」となって数世紀が経った時代、主人公の”わたし”は国際公務員の“調停官”で妖精さんと人間との間を取り持つのがお仕事です。この物語は“わたし”がお仕事で体験したことのお話です。

7巻は2つのお話で構成されてます。

 

【妖精さんたちの、ちいさながっこう】

クスノキの里では学校を再会することになり、わたしは教師のような仕事を言いつけられます。児童はクセの強い3人の8歳の子どもたち。

わたしは子どもたちやその親達にいろいろ振り回されてしまいます。

すでに学校というものが存在しなくなった世界にあえて学校を復活させたものの、そこに存在するのは学級崩壊、モンスターペアレント、ネグレクト、などがの問題が発生します。

まるで、学校とは直接関わりがなくても、ネットやメディアで流れている子どもや学校、教育などの情報に触れている私達が”今の子どもをとりまく環境ってこんな感じなんだろう”と想像した通りの様子が描かれています。でも、この時期に注目されている子ども同士のいじめがないのはちょっと救いでした。

こうした問題も見事に風刺されていますが、際立っているのは”PTA推奨の教育配慮語”ですね。腫れ物に触るかのように子ども達に接し、何かとクレームを付けてくる親達の攻撃を極力受けないようにと、歪な配慮をしなければいけない学校の現場を絶妙に皮肉っていますね。

人類は衰退してしまいましたが、子どもたちには未来があり、彼らは未来に向けて希望を持てるわけでもないし、親からも放任され、そんなストレスが終盤の不思議な空間をつくりだしてしまったのではないかと思うのです。

子どもたちが肌身離さず持っているぬいぐるみやリモコン、だてメガネにはきっと妖精さんがつまったブラックボックスが取り付いたのかもしれないです。

 

【人類流の、さえたやりかた】

気がつくと 手足に枷をはめられて拘束されていたわたしは、その拘束から逃れてクスノキの里を目指します。しかしどこにいるのか分からず放浪していると、通信機から誰かわからない人から投降するように命令されます。わたしは威圧的な相手にイラっとし、その命令を無視してクスノキの里を目指します。

しかし、相手は戦車でわたしを攻撃しながら追跡してきます。途中妖精さんの力を借りてパワーアップしてもらい、なんとかクスノキの里にたどり着きましたが、街は廃墟と化していて、誰一人人影が見当たりません。

わたしがなぜこんな状況になったのか、どうしてクスノキの里が荒れ果ててしまったのかなどは終盤になるまでわかりません。

通信機の向こうから威圧的に命令する相手と、わがままっぷり全開のわたしとの会話は結構面白いですね。

そして、わたしやクスノキの里がなぜこうなったのかについてのネタバレにはビックリしたの一言に尽きます。

あんまり書くとネタバレになるので控えますが、機械が心を持つというシチュエーションはいろいろシュールなところもあり面白いですね。

短絡的かもしれませんが、この物語はわたしの名前が秘密になっています。もしかしたら今回の物語にその答えが隠されているのかなとかも思いました。

 

久しぶりのシリーズ新刊ですが、アニメ化やコミカライズの都合なのか、イラストが既刊6冊と変わっています。新しいイラストは広く受け入れられそうなデザインになっていますが、個人的には前のイラストのほうがシュールな感じとどことなくダークな世界の雰囲気をうまく表しているような感じがして好きでした。(既刊6冊も今のイラストにリニューアルされ刊行中)

 

2012年07月30日読了
★★★★★
ねたがたいむりーなのはぐうぜんですゆえ

 

人類は衰退しました 7
田中 ロミオ (著), 戸部 淑 (イラスト)
小学館 ガガガ文庫
2012年07月18日発売

「人類は衰退しました 7」への2件のフィードバック

  1. 現実世界をちょっと皮肉ったコミカルな内容の小説みたいですね。
    私はどうしても妖精というとティーンの白人の女の子を連想してしまいます(笑)

    1. >星鈴さん
      コメントありがとうございます。
      そうなんですよ。現実世界の風刺がかなりきいているので、面白いんですよ。
      妖精さんのテキトーでゆるゆるな雰囲気が、その風刺をかなりブラックな感じにしてくれるのはさすがだと思います。
      今、深夜にアニメもやってますので、もしよろしければご覧下さいね。アニメもかなり面白いですよ。
      星鈴さんの妖精さんはそっちでしたか(笑)

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