映画「阿賀の記憶」(DVD)

映画「阿賀に生きる」の完成から10年後。スタッフたちは再び阿賀の地を訪れ、映画に登場した人々の記憶、また彼らと関わった自らの記憶をたどります。

はじめに、この映画をご覧になる前には必ず映画「阿賀に生きる」をご覧になってくださいね。

7人の若者が、阿賀野川のほとりの家を借り、共同生活をしながら3年間かけて制作した映画「阿賀に生きる(1992年)」の完成から10年が経ちます。

映画「阿賀に生きる」を手がけた佐藤真監督と、小林茂カメラマンは、当時自分たちがフィルムを廻した場所や、取材した人々の足跡を訪ねひたすらフィルムを廻します。

長谷川さん夫婦が守ってきた谷間の田んぼは守る人がいなくなり、口論を楽しむ餅つき名人の加藤さんの囲炉裏には誰もいなくなってしまいました。

人や風景の移り変わりを映像におさめながら、かつて撮影した場所で、阿賀に生きるや本編で使われなかったフィルムを上映し、佐藤監督達が彼らの記憶をたどるドキュメンタリーといえるでしょう。

 

阿賀に生きるでは元気な姿を見せていた方々ものほとんどが亡くなり、彼らの生活の場も主をなくしすっかり変わってしまいました。10年という時間の隔たりはとても大きなものだと感じました。

映画の中では阿賀に生きるが撮影された場所にスクリーンを据え付け、「阿賀に生きる」本編やラッシュフィルムが映され、その様子をキャメラがとらえています。

主を失った場所で在りし日の人々が映し出される様子は、とても不思議な感じがし、時間の力の大きさを感じます。場所に映画に登場する人々を思い出させているような気もしますし、佐藤監督たちの記憶を再生しているのかなと感じます。

阿賀に生きるは外に向けた映画で自分にはわかり易かったのですが、こちらはどちらかと言うと内省的な感じがして自分には難解でした。

この映画で渡辺参治さんが新たに登場し、昔のはやり歌や思い出語りを披露してくれます。

これらは阿賀に生きるに登場した方々もよく知るものではないかと想像します。渡辺さんの歌は私たちに「阿賀に生きる」に登場した人々をはじめ、かつての人々が阿賀野川のほとりで暮らしていた頃を想像させるように思います。

 

2012年06月04日 DVDを鑑賞

★★★★☆

阿賀の記憶
監督:佐藤真
撮影:小林茂
出演:長谷川ミヤエ、加藤キミイ、遠藤ミキ、渡辺参治
2004年 日本作品

 

おまけ:関連作品のレビューはこちらからもご覧いただけます。

映画「阿賀に生きる」

書籍「焼いたサカナも泳ぎだす 映画『阿賀に生きる』製作記録」

 

「映画「阿賀の記憶」(DVD)」への2件のフィードバック

  1. 人はどれだけ偉くても、どれだけお金を持っていても死ねば全てを失うのです。
    それは例外なく誰でもそうです。

    しかし、私の人生の価値ってどれだけ他の人の心に残ったかだと思うんですよね。
    ここに出てきた人たちでも、こうやってなつかしんでくれる人がいるということは、それだけ素晴らしい人生を歩んできた証です。
    それぞれの人々に生きた証が描かれた映画だったみたいですね…。

    1. > 星鈴さん

       コメントありがとうございます。

       「阿賀に生きる」登場した人々は、ごくごく普通の方ですが、スタッフだけじゃなくて映画ファンにも愛されたと思います。

       ですから、こんな映画が作成されたのでしょうね。

       亡くなった方々の思い出、遺族の方の記憶、彼らが生活していた場所が持つ記憶、スタッフたちがここで映画を作ったという記憶、そんな記憶が重層的に重なり、時の力の強さを感じさせる映画でした。

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