愛のために踊って・・・“Pina/ピナ・バウシュ3D 踊り続けるいのち”

“もっとクレイジーに”、”自分を見失わないために踊り続けて”、“答えがわからなくても模索し続けるのよ”、“愛のために踊って”ピナ・バウシュの言葉をパフォーマー達の生命の躍動で表し、巧みなカメラワークと3D映像で描かれています。

ピナ・バウシュ(1940-2009)はドイツのヴッパタール舞踏団の芸術監督兼振付家であり、天才的な舞踏家として世界中に熱狂的なファンがいるということです。

ヴィム・ヴェンダース監督は彼女のパフォーマンスを観て感動し、20年来の親交があり、3D映像技術が映画に使えるようになってきたことをきっかけに、彼女と映画を制作する準備をしてきました。

いよいよ撮影のリハーサルに入ろうという2009年6月、ピナはガンの告知を受けた5日後に突然この世を去ったということです。

映画制作は一時打ち切られましたが、舞踏団のメンバーや世界中のファンの声に動かされ、この映画は再度作られることになりました。

ヴッパタール舞踏団のパフォーマンスと、ダンサーがピナの思い出を語るモノローグで構成されている映画です。

 

ピナ・バウシュについてはこの映画を観るまで知りませんでした。ピナの熱烈なファンや舞台芸術をよく知る人々には、そんな人にこの映画を観て欲しくないと思われるかもしれません。

しかし、これは映画です。映画となって世界に送り出されたからには、多様な人が観てそれぞれに何か感じることに意味があると思います。ここで新たにピナの素晴らしさに触れる人もたくさんいるというのも素晴らしいと思うのです。

体を動かすことで魂を自由に解き放っているという感じのダンスパフォーマンスだなと感じます。

ダンサー達の自らの生命を解き放ちそれを体で表現するためには、より繊細で優れたダンス技術、均整のとれた肉体があって具現化するのだと感じました。

ヴィム・ヴェンダース監督にとって3D映像技術は彼女たちのパフォーマンスを映画にする大きな動機付けになったようです。

舞台の映像も観客の疑似体験にとどまらず、映画でしか表現できない巧みなカメラワークで見応えのあるものに仕上がっています。

舞台では抑えめでありながらも、パフォーマー達のエッジを強調するような照明や、土を敷き詰めたり、水を流したり、椅子やテーブルを並べたりとユニークなセットになっています。土や水を使うというのはそれらが命の根源と結びついているからなのでしょうね。

街や公園などでのパフォーマンスは映画でなければここまで見応えのあるものにならないだろうという見せ方になっています。

モノローグではいかにピナの存在や影響力の大きさ、彼女への愛情、喪失感などが語られます

安っぽい言い方になってしまいますが、踊り続けることがピナの舞台芸術やパフォーマンスへの精神を継承し、彼女を失った悲しみを乗り越えていくために必要なことなのだと思います。

この映画の3D映像はライブを一発撮りしたものだということです。これはヴェンダース監督らの技量だけではなしえなかったと思います。

ヴェンダース監督とヴッパタールのメンバーの間には、ピナへの愛情という共通の根っこがあり、周到な準備により築き上げた信頼感があってこそ作り出せた映像なのだと思います。

あれこれここで書いても、百聞は一見に如かずと言う言葉の通り、是非彼らのパフォーマンスと巧みな映像を体験してみてください。

2012年05月26日 T・ジョイ新潟万代にて鑑賞
おすすめ度:★★★★★ 4.5
この映画を観る前に公式サイトなどでピナのことを多少なりとも調べておくとよいと思います

 

原題 pina dance , dance , otherwise we are lost.
出演     ピナ・バウシュ、ヴッパタール舞踏団
監督・脚本・制作     ヴィム・ヴェンダース
撮影     エレーヌ・ルバル
音楽     トム・ハンレイシュ
編集     トニ・フロッシュハマー
2011年 ドイツ・フランス・イギリス作品

リンク
“Pina/ピナ・バウシュ3D 踊り続けるいのち”公式サイト
Pina/ピナ・バウシュ3D 踊り続けるいのち@ぴあ映画生活
象のロケット

「愛のために踊って・・・“Pina/ピナ・バウシュ3D 踊り続けるいのち”」への3件のフィードバック

  1. 新潟では、新潟・市民映画館シネ・ウインドにて“ピナ・バウシュ 夢の教室”が7/21~8/3に公開されます。
    こちらも楽しみですね。

  2. ピンバック: 象のロケット

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