懲りない傲慢さの行方は? 映画“英雄の証明”

舞台は別の世界のローマという国はヴォルサイ人との戦いを続けています。そんな中民衆は食料を求めるため、将軍のマーシアスに詰め寄ります。彼の友人のメニーニアスは少しは譲歩するように進言しますが、戦わないものにやる食料はないとまったく聞き入れようとしません。

ヴォルサイ人の軍のリーダーであるオーフィディアスはマーシアスと何度も対決をしますが、なかなか打ち負かすことが出来ずにいます。

マーシアスは多くの戦果を上げ、コリオライという都市を陥落させた功績を讃えコリオレイナスという名を与えられ、執政官に就任することになります。

しかし、コリオレイナスは国民を侮蔑し、政治家達の意見を聞こうともせず、自分の考えを押し通そうとします。

その傲慢さが独裁を懸念する政治家や民衆の反感を買い、彼らはコリオレイナスを執政官の座から引き摺り下ろし、国から追放します。

祖国のために戦ってきたにも関わらず、国に裏切られたコリオレイナスは、ローマに復讐をしようと敵国のオーフィヂアスを訪ねます。

 

物語の舞台は架空の世界とはいえ、かなり現実味がありました。

砂煙の舞う戦闘シーンもそうですが、特に民衆がマーシアスに反対しての暴動や、彼をよく思わない政治家に扇動されるところはまるでどこかの国のニュース映像を見ているかのようでした。

でも国同士の戦争でリーダー同士が何度も一騎打ちしてるってちょっとおかしいなとか、コリオレイナスの台詞が仰々しかったり、あれほどローマに復讐の闘志を燃やしていたのに、母親の説得でコロっと復讐をやめちゃうなど、リアルな世界観なのにどこか違和感を感じてしまいました。

エンドロールを見てやっと納得です。この映画って、ウィリアム・シェイクスピアの“コリオレイナス”という戯曲を原作にしたものだったのですね。(でも原作は読んだことはありません)

 

オーフィディアスはコリオレイナスに勝つことができませんでしたが、気さくに庶民にも声をかけ、部下からの信頼も厚いなどコリオレイナスとは対照的な人物でした。

ローマを追われたコリオレイナスはオーフィディアスにローマを襲うという共通の目標を持つことと、その実力で歓迎されます。

しかし、コリオレイナスを支持する者が増えてくるにつれ、彼はオーフィディアスを自分より下に見るようになります。

オーフィディアスが気さくに街の人々に声を掛け合う様子はコリオレイナスとは対照的なシーンです。しかし、コリオレイナスはこの様子を戦いもしない庶民をいちいち相手にするなんてバカなヤツだくらいにしか見ていないということから、あれだけの目にあいながらも未だ自分の欠点を認めようとはしていないように感じます。

そして、ローマを手に入れるために多くの命を犠牲にしてきたオーフィディアスたちは、ようやく悲願のローマ陥落を目前にしています。

それにも関わらずコリオレイナスはオーフィディアスたちの気持ちを全く気にすることなく、母親の説得を独断で和平を成立させてしまいます。

オーフィディアスたちは失われた命が軽んじられたことで怒り心頭となり、コリオレイナスを裏切り者とします。

原作はおよそ400年前に描かれていますが、それがピッタリと傲慢が裏切りをひきよせ、悲劇が繰り返すというのは普遍的なテーマなのでしょうね。

自分たちに置き換えてみれば、自分たちは千差万別はありますが、必ず何かしらの社会や組織の中で生きています。

誰にでもいいところもあれば、悪いところもあります。自分の悪いところを認め、それを少しでも良くしようとしていかなければ、人との関わりの中で生きていくことは難しいのだなと思います。

また、最後は自分が望んでいない形でコリオレイナスに打ち勝ったオーフィディアスはこの先も後味の悪い思いをずっと引きずるのではないかと思います。

この作品はコリオレイナスを演じたレイフ・ファインズの初監督作品とのことです。戦闘や民衆の暴動などは迫力がありましたが、残念ながら作品自体は単調な感じは否めません。

しかし、レイフ・ファインズやオーフィディアス役のジェラルド・バトラーはなかなかに渋い演技でしたし、コリオレイナスの周りを固める政治家や母親も存在感のある演技でした。

レイフ・ファンズはハリー・ポッターシリーズでヴォルデモートを演じたということですが、がらっと印象が変わりますね。

また、ジェラルド・バトラーは新潟で6月に公開となる“マシンガン・プリーチャー”の主演で、こちらも楽しみです。

 

2012年05月21日 ユナイテッド・シネマ新潟にて鑑賞
おすすめ度:★★★☆☆
Blu-ray上映って初めてでしたが、思っていた以上に画質も音響も悪く残念でした。(これで同じ料金取られるとは悲しい)

 

原題:Coriolanus
監督     レイフ・ファインズ
脚本     ジョン・ローガン
原作     ウィリアム・シェイクスピア『コリオレイナス』
出演者     レイフ・ファインズ
ジェラルド・バトラー
2011年 イギリス作品

 

リンク
“英雄の証明”公式サイト

英雄の証明@ぴあ映画生活
象のロケット

「懲りない傲慢さの行方は? 映画“英雄の証明”」への2件のフィードバック

  1. ユナイテッド・シネマ新潟での上映は今日までです。

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