鋼殻のレギオス20 デザイア・リポート

あまりの美貌で次々に男子学生から告白を受けるヴァティ・レン。

しかし彼女は“人間の雄が雌を好きになる”ということへの知的探究心が旺盛のあまり、告白してきた男子に“自分のどういうところがいいのか”と執拗に訊ね、告白した男子は感覚のズレに戸惑いドン引きて次々に玉砕していきます。

そんな話が学園の話題となり、記者のミィフィはヴァティのことを記事にしようと、親友メイシャンが経営しバティがアルバイトをしているケーキ屋を訪ねて、ヴァティにインタビューします。
そのインタビューでも生々しすぎるヴァティの発言にメイシェンもミィフィも顔を真赤にします。
しかも、ヴァティが発言“自分は誰一人ふったことはない”と話し、二人はさらに驚きます。

またヴァティは“吊り橋効果”を検証しようと肝試しにも参加します。

この他に、錬金課でレイフォン達のダイトを開発・メンテナンスしているハーレイが恋心を弄ばれる話しや、カリ・ロスの後任の生徒会長となったサミラヤが生徒会で祭りを主催しようと妄想する話、都市警察隊のナルキが課長のフォーメッドに淡い気持ちを抱く話し、この世界を作ったと人の一人エルミとヴァティの遭遇などの話が盛り込まれています。

 

この短編集は、ヴァティ・レン(表紙のメインに描かれている女の子)が主人公です。

レジェンド・オヴ・レギオスや鋼殻のレギオスを読んでいる人はわかると思いますが、ヴァティ・レンのことを少し書いておきます。

ヴァティ・レンは絶縁空間内に充満している、人の思念や潜在的な願望に反応してそのあり方を変えるオーロラ粒子により変異した“異民”を討滅するために作られた兵器、ナノセルロイド1号機(ナノマシンの集合体)で、正式名称はレヴァンティンと言われています。

 

さて、感想です。

ナノマシンの集合体であるがゆえ論理的にしか物事を考えられないヴァティのミィフィやレイフォンとの会話は面白かったです。本人はいたって真面目なんですが、人間の常識からはかなりぶっ飛んでいる思考で、思春期には刺激の強すぎる発言が連発です(笑)。

エルミ(=この世界を作った人の一人)とヴァティの遭遇で、ヴァティがエルミに思考(感情?)を揺さぶられるところも見所の一つです。ヴァティがなぜこの世界にいるのかが簡潔に理解できたのは良かったです。

個人的には、機械や人外が人の心を理解しようとしたり、感情が芽生えて行ったりする話は結構好きなので、なかなか面白い短編集でした。

また、レイフォンはその実力でファンも多く、身近にフェリやニーナ、ミィフィなど好意を寄せる女の子もいるのですが、彼女たちの気持ちにまったく気づきません。この朴念仁ぶりは天然ではなく、学園都市の中で生活するうえで問題とならないように多少は意識していたというのはちょっと意外でした。でも自分の中のルールを守るのもいいけど、彼女たちの気持ちにも気づいてあげてほしいですよね。

ハーレイは普段はレイフォン達の錬金鋼(ダイト)を開発したりメンテナンスしたりで、あまり活躍する場面はなかったのですが、彼がメインの話しもあります。でも恋心を弄ばれて気の毒でしたけど、“ランティカ(これが何かは秘密)”とハーレイ達のその後が気になります。

カリアン・ロスの後任の生徒会長のサミラヤは、策士のカリアンとは違い、天真爛漫なキャラクターで、お目付け役の副会長レウとのやりとりは楽しいですね。

中扉のイラストに描かれている、ピンクのツインテールの可愛い女の子が誰なのかと思っていたら、これがサミラヤだったのですね。お茶目なところが面白いので今後も登場して欲しいキャラクターです。

本編はクライマックスに向かおうとしているところ、シリーズ前巻の“イニシエーション・ログ”も短編集で、2冊続けて短編集というちょっと拍子抜けという感じのシリーズ展開でした。

短編のように登場人物の戦いとは離れた日常を描いた話も好きですが、あんまり間が空いてしまうと本編の内容を忘れそうですよ。

内容は結構面白かったのですが、出るタイミングがちょっと残念でした。
2012年05月10日読了
★★★★☆3.5

 

鋼殻のレギオス(20)デザイア・レポート
雨木 シュウスケ (著), 深遊 (イラスト)
富士見書房 富士見ファンタジア文庫
2012年04月20日発売

「鋼殻のレギオス20 デザイア・リポート」への2件のフィードバック

  1. なかなか面白い設定ですよね!!
    延々と自分のどこがいいのか尋ねられたら…、私なら某先生にそういわれれば何日でも延々と話しますけどね(笑)

    このイラストはいつも紹介されているようなラノベのイラストとちょっと違う感じのイラストですよね?

    1. > 星鈴さん

      コメントありがとうございます。

      恋愛は人間の中では感情的なものですが、それを論理的に理解しようとするヴァティと周りの人とのギャップが面白かったです。

      さすが星鈴さん、某先生とならヴァティとは逆のパターンでものにしてしまいそうですね。(笑)

      このイラストを描かれている深遊先生のイラストは、アニメアニメしていない独特な雰囲気で、女の子は可愛いし、男子はかっこいいし、動きもあるので好きです。

      円環少女というシリーズのイラストも素敵でした。

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