ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件

“文学少女”シリーズや”ヒカルが地球にいたころ……”シリーズでお馴染みの野村美月先生の新刊です。

といっても、大学生の頃にノートに書いていたお話が原型になっているということなので、むしろ野村先生の原点なのかもしれませんね。

さて、ストーリーですが、

万能の天才と呼ばれるグリンダ・ドイル(=女子)は、開国したばかりの同盟国の皇族の家庭教師として派遣されることになっています。出発の直前に”グリンダ・ドイルを廃業する”と書き置きを残して失踪します。

その身代わりとして、グリンダの双子の弟シャーロック(シャール)・ドイルに白羽の矢が立ちます。

しかし、シャールは姉とは正反対で、受験に失敗し、パン屋の娘に振られ、冴えたところのないニート予備軍で、姉にはとうていおよびもしないと抵抗します。

シャールの抵抗も虚しく、彼は女装をさせられ、グリンダとして同盟国へ送り込まれます。

その同盟国の皇族子息は、ツンデレな第一王子、ギャルギャルした双子の第二・第三王女、何を考えているかわからないけど手先だけは器用な第二王子、そして銀髪で紫水晶のような瞳を持ち神秘的な雰囲気の第一王女からなり、シャールは自分の正体がバレないように、ドタバタと奮闘します。

文学少女やヒカルなどと違ってかなりライトなタッチですね。

野村先生はこういったドタバタコメディーも書けるのかと感心してしまいました。ドタバタしながらもこれだけ多くの登場人物の描写もうまく盛り込んであってさすが野村先生という感じです。

また、ぶっ飛んでいる設定はあっても、それが破綻することなく丁寧にまとめられているところもすごいなと思います。

いくつかの章末の最後の一言が、読み手をドキっとさせたり、グリンダの謎めいた行動は、文学少女やヒカルにも共通する野村先生ならではの表現ですね。

皇族子息たちはシャールに少しずつ心をひらいていきますが、中でも第一王女の聖羅姫の様子がとてもよいです。

その他にもイケメンな王様、家事が好きだからとメイド服を好んで着ている異国の元アイドルのお妃様、頭の中が攻めと受けでいっぱいなメイド、残念なナルシストの騎士、腹黒な外交官などが登場し、脇役も賑やかで、とにかく読んでいて楽しいですよ。

ラストの脇役目線の物語はその前のエピソードと絡んでいてなかなか楽しめました。いつか聖羅姫と真王子目線の話とか、お妃さまのアイドル時代の話なども登場して欲しいですね。

イラストも文学少女やヒカルでは竹岡美穂先生と組んでいましたが、今回のkarory先生のイラストはライトタッチな物語になかなかよく合っていて良いと思います。表紙のシャールを見て、男の娘だとは思わないですよね。

 

2011年03月12日読了
★★★★☆
ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件
野村 美月 (著), karory (イラスト)
エンターブレイン ファミ通文庫刊
2012年02月29日発売

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