永遠の僕たち

“リア充爆発しろとか思うことすら忘れるくらいの眩しい恋です”

両親を事故で失い、自分も臨死体験をした少年“イーノック(=ヘンリー・ホッパー)”は叔母と暮らしています。

彼は高校をドロップアウトし、喪服を着て、見ず知らずの人の葬儀に参列することが趣味であるかのような日々を送っています。

そんな彼のそばには、日本軍の特攻隊員の幽霊“ヒロシ(=加瀬亮)”がいて、イーノックだけは彼の姿が見えて、話したり、触れたりできるのです。

とあるガンで亡くなった子どもの葬儀の会場で、イーノックにほほえみかける少女がいました。

彼女の名は“アナベル(=ミア・ワシコウスカ)”といい、イーノックと別の葬儀で再び出会い、二人は徐々に打ち解けていきます。

しかし、彼女は脳腫瘍で余命3ヶ月。でも二人の恋は深まっていきます。

余命わずかな女の子との恋物語は日本のドラマなどでもわりとよくある話のように思います。

この映画の面白いところは、人の死に惹かれてしまったという主人公と、その友人のヒロシの存在だと思います。

赤の他人の葬儀に参列するなんて常識では考えられない不謹慎な奇行ですよね。

イーノックの両親が死んだ事故の際、一緒に車に乗っていた彼は昏睡状態となり、臨死体験をします。そんな中で両親の葬儀が執り行われ、言ってみればイーノックが知らないうちに両親が墓に入ってしまった形になってしまうのでした。そんなことを考えると彼が奇行に走るのも分からなくもない気がします。(ちなみに臨死体験の際にヒロシと出会ったとのことです)

一方アナベルは既に自分の死を受け入れていますが、そのことに対して悲痛さをひとかけらも感じさせません。本人は当たり前に思っていても、周りはそんな場合じゃないですよね。

いずれアナベルの死が二人を分かつと知っているだけに、無邪気に恋する二人の様子は本当にフレッシュで眩しく映りますね。二人の関係はイーノックに感情の起伏を少しずつ呼び戻してくれているように感じます。

ある時、二人はヒロインが病で死んでしまうという劇をして遊ぶのですが、そこでの意見の食い違いがきっかけに二人の関係は危機的な状況に陥り、イーノックは叔母やヒロシにキツくあたります。イーノックだって人の死を受け入れるにはまだ幼いのかもしれないです。死が自分から大切な人(両親やアナベル)を奪ってしまうことの辛さが彼をそうさせたのかもしれませんね。

この喧嘩がきっかけでなんとなく距離があいてしまい、素直になれないまま仲直りのきっかけがつかめないイーノックに、ヒロシは自分自分のポケットにしまってあって、ことあるごとに何度も読み返している手紙を見せます。

その手紙とはヒロシが特攻に出撃する前に恋人あてた手紙で、残るものに彼女に渡して欲しいと託さなかったことを後悔しているとのことです。手紙には“敵の船に激突するときにバンザイを叫べと言われているが、その瞬間にあなたの名をつぶやくだろう”と書かれています。創作なのかもしれませんが、特攻隊員が残した手紙に触れたのは初めてで、自分にとってはとても衝撃的でもありました。

正直に言って特攻隊員の幽霊って設定がぶっ飛びすぎているなって思いましたが、ヒロシも特攻で死ぬことで愛する人を失った辛さがわかり、自分の思いを伝えられなかったことの後悔があるからこそ、イーノックに手紙を見せて生きているうちにやるべきことがあるだろうと背中を押してくれたのだと思います。

その手紙を読んだイーノックは何かが吹っ切れ、グンと成長するという感じがします。

ラストはアナベルの葬儀で、イーノックは自分も彼女の思い出をスピーチしたいと参列者の前に立ちますが、彼は明るく微笑むばかりでなかなか話を始めようとしないのです。きっとイーノックの中でもどれもこれも眩い思い出になったのでしょうね。

しかし、メインの3人はみんな繊細で素晴らしい演技でした。

ヘンリー・ホッパーはイーノックが惹かれた重いものから徐々に感情が解放されていく様子がよかったですし、なかなかのハンサムで上手いじゃないですか。エンドロールでデニス・ホッパーに捧ぐとあって、???と思いましたが、彼はデニスの息子なのですね。どうもこの映画の撮影中はデニスはガンとの闘病生活がクライマックスで、撮影終了後まもなく亡くなったとのことです。映画の中でも現実でも大切な人の死に直面していたからこそ、あれだけの演技になったのかもしれません。でもそんな下駄を抜きにしても今後が楽しみな俳優の一人ですね。

アナベルを演じるミア・ワシコウスカは、生き生きとしてキラキラとした恋する少女を好演していました。スリムなスタイルにショートカットがキュートですね。とってつけたような悲劇のヒロインぶっていないところがとてもよいです。

そうした瑞々しい二人に、ヒロシ役の加瀬亮が加わることで、映画は幅を広げています。おそらくアメリカの人から見た特攻隊員のイメージは死ぬことを一切恐れない(というより恐れることすら許されない)クレイジーなキャラクターになってしまいがちなのかと思うのですが、イーノックとぶつかったときにふと見せるどことなく寂しげな表情や、ナガサキの原爆のことを知って暗くなったりとかして、意外と普通の青年らしい表情がなかなかよいです。イーノックとアナベルをうまくつなぐだけではなく、生きていることの大切さや愛しい人を失うつらさをよく伝えています。

音楽もThe Beatlesの“Two of Us”から始まり、結構ライトな感じの曲が散りばめられていて、瑞々しく恋する二人にピッタリですね。

リア充爆発しろって思う隙もないほどに二人が恋をする眩しい様子も素敵なのですが、それだけにとどまらず死によって大切な人を失うことを通じて生きることの大切さ、少年の成長などがラブストーリーに厚みを持たせていて、なかなかに感動でした。この映画を観ていて10年ほど前にガンでなくなった母親のことを少し思い出しました。(べ、別にマザコンとかじゃないんだからね)

 

おすすめ度:★★★★☆

とにかく眩しいですわ。

2012年02月18日 シネモンド(金沢市)にて鑑賞

原題:Restless
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ジェイソン・リュウ
音楽:ダニー・エルフマン
2011年 アメリカ作品

リンク
“永遠の僕たち”公式サイト
永遠の僕たち@ぴあ映画生活
象のロケット

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【おまけ】

前乗りを含めて先週土曜日から始まった石川県内出張もようやく折り返しです。今日明日は金沢市内に滞在してOFFです。

金曜日の仕事が終わってから新潟に戻ってもいいのですが、週末はかなりの雪みたいで金沢に戻れなくなったら洒落にならんので、帰らず現地に居座ってます。

今日は気分が乗ってきたので、もう一本映画を観て、ホテルでゴロゴロしているところです。もう一本の感想はもう少し後でね。

こんなことしていないで試験勉強でもすればいいのにというのは分かっているのですが、気が緩むとストレスやプレッシャーに押しつぶされそうなくらいなのでなかなかそっちの方へは頭が回らないのです。ついつい楽な方に流されてしまってますが、出張終わってひと心地ついたら再スタートと割り切って今のことに集中することを最優先ですね。

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