レンタルマギカ 死線の魔法使いたち

いつきの妖精眼(グラムサイト)に潜む“紅い種”をめぐる“協会”と“螺旋なる蛇(オピオン)”の“大魔術決闘(グラン・フェーデ)”も中盤にさしかかりました。

布留部市の各所で戦いが激化する中、アディリシアは魔神との融合を試みます。また時を同じくして布留部市の霊脈(レイライン)に異変が生じ、フェーデに関わっていた魔法使いたちは12年前に伊庭いつきに起こった出来事を知ることになります。

そして、先代アストラルのメンバーたちも登場することで、いつきに関わる様々な事実が明らかになっていきます。

 

すこし、ここでフェーデのルールについておさらいしておきます。

いつきはこの魔術決闘については、協会にも螺旋なる蛇にも勝たせないことを考え、自分がフェーデををしきることにしました。

“大魔術決闘(グラン・フェーデ)”のルール

・規定の三日以内に魔術的な方法で伊庭いつきを倒したものを、魔術決闘の勝利者とする。
・勝者はいつきたちアストラルが布留部市全体に敷設した魔法円を使うことができる。

というものです。

 

さて、感想ですが、こんな感じです。

なんといっても、ゲーティアの首領であり、いつきに恋心を抱くアディリシア(通称=アディ)がせつなすぎます。

以前彼女は、魔術のために自分の未来を捧げるという契約をしたのです。そして今回の戦いの中で魔神と融合しようとします。自らの意思で契約したこととはいえ、アストラルのメンバーたちとの大切な思い出やいつきへの気持ちまで魔神に奪われそうなアディがせつなすぎます。(大事なことなので二回も書いた)

次の巻で本編は完結するとのことですが、彼女の魂が救われるように願ってます。

また、自分が魔神に飲み込まれていく中でいつきへ自分の気持を伝えようとするアディを支える穂波は恋敵とはいえ潔く彼女らしい感じがしてかっこいいです。(ちなみに表紙の手前がアディで後ろが穂波です)

この巻で物語を大きく展開させていったのは、いつきの父親でありアストラルの先代社長の伊庭司の存在ですね。言うなれば彼は魔力を持たない魔法使いともいえるかもしれないです。この戦いでは協会の傘下となりますが、何を目論んでいるのか最後まで明らかにならないのでしょうね。でも、猫屋敷や影崎らを従えて、息子のために親父も頑張らねばと葉っぱをかけるところはなかなかに熱いですね。

また、先代アストラルの社員で穂波の祖母でもあるヘイゼル・アンブラーもこの物語の鍵となる人物(とはいっても彼女は魔法で自分の姿を羽根の生えた猫に変えていますが)ですね。彼女はいつきにアンブラーの血筋と竜のつながり、いつきと竜の関係の始まり、影先の秘密や魔法使いが魔法になる禁忌などを語って聞かせます。この先いつきはきっと彼女の話をヒントにあっと驚く展開に持って行ってくれるのではないかと期待しちゃいますね。

戦いの中では協会やオピオンの裏なる思惑が発覚したり、先代アストラルのメンバーが揃ったり、魔法使いを罰する魔法使いの中でも最強と言われる影崎(元アストラルの社員)の過去、いつきと布留部市の竜との関係の始まりが明かされるなど、これらがこの先どんな物語を展開していくのか楽しみです。

フェーデに絡む様々な立場の思惑が明らかになってきて、そちらに目がいってしまいがちになりそうですが、このフェーデを提案した“どちらにも勝たせるつもりがない”といういつきの思惑はどのように読み手をびっくりさせ、魔法使いの幸せをどのように実現するかも楽しみですね。

蛇足になってしまいますが、自分の場合、とかくこうした魔法や異能を扱う物語は、説明が小難しくなったり、注意深く読んで行かないと誰が何をしてどんな状況なのかを見失ってしまったりすることが多いのですが、この物語では状況が説明臭くなるということはなく、次はどんな展開になるのかと気になりどんどんページが進んでいってしまいました。こうしたところに作者のうまさを感じますね。

2012年02月06日読了

おすすめ度:★★★★★

レンタルマギカ 死線の魔法使いたち
三田 誠 (著), paco (イラスト)
角川書店 角川スニーカー文庫刊
2012年01月31日発売

 

「レンタルマギカ 死線の魔法使いたち」への1件のフィードバック

コメントを残す