生徒会の十代 碧陽学園生徒会議事録10

生徒会の一存シリーズ本編の最終巻となりました。

碧陽学園第三十二代生徒会、生徒会長の桜野くりむ(3年生)、書記の赤紅葉(あかば)知弦(3年生)は卒業を迎え、副会長の椎名深夏(2年生)とその妹で会計の椎名真冬(1年生)は転校のためこの学園を去ります。

この物語は、新聞部部長の藤堂リリシアの司会で挙行される卒業式の模様と、生徒会の最後の一日の物語になります。

卒業式はリリシアの強引な進行で、知弦も椎名姉妹も壇上でスピーチをし、最後はこの物語のストーリーテラーの杉崎鍵(副会長2年生)の送辞と会長の答辞で終わります。

卒業式の二次会が終わった後の会議は、これまででやってなかったことをやってみようという流れになるのですが、何をするのか、何が起こるのかはネタバレになるので書かないでおきますね。

いつもは鍵のクラスメイトの善樹や宇宙姉弟などの脇役も登場しますが、この巻では生徒会の5人に話が絞られているので一層5人の気持ちが響いてきます。

卒業式では生徒会メンバーがそれぞれスピーチをするのですが、いわゆる借りてきた言葉ではなく、自分自身の言葉で気持ちを語るスピーチはどれも泣けます。

なぜか卒業式なのに転校生挨拶としてステージに上がらされた深夏。“この学校の思い出があるから前にすすめる。次の学校でもこの素晴らしい学校で一年過ごせてよかったって言えるように頑張る”という言葉は、いろんな意味でエネルギッシュな彼女らしいスピーチでした。

次に同じく転校生挨拶として1年C組の真冬を愛でる会メンバーの熱い視線を浴びながらステージに上がった真冬。彼女は一人で趣味に没頭することが好きで、人との関わりを拒んできたのですが、生徒会に入って少しずつ人と接することができるようになりました。“そんな自分がこの学校が好きになれたのだから、次の学校も好きになれる”と言えるほどこの一年で大きく成長できたと思います。

送辞を述べる鍵ですが、本番まで何を言うか考えがまとまらず、自分の気持を話します。この学校を去っていく人たちがみんな大好きだから、未来へ向かうことを祝したいけど、行かないでずっとこのままでいてほしいというのは、矛盾していますが素直な本音だと思います。矛盾するどちらの気持ちも純粋なだけに、感極まって彼のスピーチは自分でも言うようにグダグダになってしまったのでしょうね。

いつも名言のパクリで会議の口火を切る桜野くりむ会長のスピーチは今回ばかりは本当に名言でした。

“未来に進んだからといって必ず幸せになれるとは限らない。でも揺らがないのは、この学園のことを、この先ずっとずっと幸せな気持ちで振り返っれるってこと!これからの人生この宝石みたいに価値のある煌きを、ずっとずっと、心に宿して生きて行けるんだよ。それって嬉しくて涙が出そうななほど幸せなことだよ”・・・・・マジで泣けます。

卒業式が終わり、二次会も終わってほとんどの生徒が帰った学校に残った生徒会メンバーが何をするかはここでは伏せておきますね。でも今日でお別れだというのに、自分の思いを伝えあった生徒会メンバー、この瞬間だけは杉崎鍵は目指していたハー◯ム王になれたとだけ書いておきます。

生徒会の活動もラジオ“オールナイト全時空 最終回150時間スペシャル”があったり、“たつ鳥は跡を濁さないものなのよ!”と生徒会室の大掃除のつもりが超刺激的リフォームをしちゃったりと、もちろんいつもながらのギャグも安定した笑いになっています。でもなんか今回は真冬がいろいろと面白かったです。

このシリーズのタイトルは生徒会の一存、二心(ふたごころ)、三振・・・と続き、今回は十代です。この物語が十代で一番キラキラした瞬間をきりとったというにふさわしいタイトルでした。

 

でもこれで終わりというわけではなく、まだ番外編の“生徒会の土◯”や、年度が変わって新しい生徒会での杉崎を中心とした話(上下巻)がこの先出るそうなので、本当のお別れまではもう少し時間がありそうですね。

2012年02月02日読了

生徒会の十代 碧陽学園生徒会議事録10
葵 せきな (著), 狗神 煌 (イラスト)
富士見書房 富士見ファンタジア文庫刊
2012年01月20日発売

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