人生、ここにあり!

“笑って泣いて、生きていることの素晴らしさを実感しました”

1987年イタリアでは精神科病院を縮小し、予防・医療・福祉は地域のサービス機関で行い、精神疾患の治療は患者の自由意志に基づいて治療を行うという趣旨のバザリア法が制定されました。

この映画はそんな状況の中でとある施設での実話を基にした作品です。この映画は2008年にイタリアで公開されるや前代未聞の大ヒットとなり1年以上のロングランになったということです。

舞台は1983年イタリアのミラノ。熱血漢ゆえ行き過ぎた活動でネッロは労働組合を追い出され、精神科病院の閉鎖によって社会に出ることになった元患者たちの協同組合の運営にあたることになりました。

その組合で病気を抱えたままの元患者たちは僅かな賃金でDMの発送作業を無気力に協調性もなくやっています。この仕事は市からの施しを受けるため、実質的に形だけのものに過ぎなかったようです。

ネッロは精神疾患や強すぎる個性に戸惑いつつも彼らに“社会で仕事をしてもっと稼いでみないか”と話を持ちかけ、床貼りの仕事を始めます。

練習としてネッロは自分の家の床貼りをみんなでやりますが、最初からなかなかうまくはいきませんがネッロは“あきらめなければきっとできる”と根気強く励まします。

精神疾患の連中には仕事を頼めないという人が多い中ネッロは昔の喧嘩友達を頼り、ようやく仕事を得ます。

しかし、納期が迫る中トラブルが発生し現場で使う板が足りなくなりました。そこで意外な才能を発揮したのは普段は無口だが突発的に暴力に走るルカと普段から落ち着きのないジージョでした。彼らは廃材を使い難しいとされる寄せ木貼りをやってのけるのでした。

これあ評判をとなり、ドタバタやトラブルに見舞われつつも仕事は順調になり、彼らは施設から出るまでになりました。

しかし、ネッロにも悩みがあるのでした。それは妻(彼女?)リサとのことです。彼は自分の仕事にのめり込むあまり、リサのファッションデザイナーの仕事をなかなか認めず不仲になっています。リサはネッロに“あなたは人を見ていない”とネッロを責めるのです。

精神疾患にかかり入院したり施設にいる人々は、薬の影響で無気力であり動作も緩慢です。そして医師やスタッフ(関係者だけではなくそうした病気のことを知らない普通の人も)は彼らを常に上から目線で扱っていることが多いのです。

ネッロが最初に組合にやってきた時に、自分はみんなの同僚だと自己紹介し、彼ら一人一人を“さん”をつけて呼びました。同じ立場にに立とうとしているところはネッロの良さでもあります。この時の彼らは施設で初めて人らしい扱いを受けたと感じたのか、様子に変化が現れ、ネッロのことを徐々に受け入れていきます。

床板貼りの仕事を始めてからは、彼らは自分に自信を持ち始めます。それぞれの個性をよく理解し、それにあった役割分担をしていったネッロの采配も見事です。

作業もこなれてきて仕事が増えてくるとともに、薬の影響で無気力だった彼らの表情や行動が生き生きと輝き出す様子は観ていてワクワクしてしまいますね。

そして、彼らは徐々に物欲や金銭欲、性欲や恋愛など、誰もが持っているけれども、これまで病院や施設では認められなかった欲求を主張し始めます。そんなことをタブーとせずあっけらかんと描いてしまうところはイタリアらしいと思います。

人は何のために働くのかというのがストレートに現れています。職を探す時や職場では言えませんが、根底にはお金を得ていろんな欲求を満たす(お金では解決できないこともありますが)ことと、自分が生きているということを確認するということなのかと思います。

特に印象的なエピソードは、作業に訪れた家の女性にジージョが恋をし、二人の仲はかなり良い感じになったのですが、とてもショッキングな恋の結末となってしまうことです。

冒頭でルカが“自分たちはイカれているがバカではない”と言っていたように、精神を病んでいても普通の人と同じ感情や思考も持っていて、長い間社会と隔絶されてしまったためか彼らの感情は普通の人よりもむしろ純粋かつ繊細だったのではないかと感じます。

ネッロはジージョの恋の結末のことで自分を責め立ち直ることができなくなりました。そして組合をやめて、リサの働く会社に務めることになります。また、組合のみんなも意気消沈し、全く仕事をする気が起きなくなります。そんな中ショックで塞ぎこんで寝てばかりいたルカが突如組合の会議を開きネッロの職場へ押しかけます。そしてとある一言がネッロに奇跡を起こすラストはスカっとします。

ネッロが組合のみんなを理解し打ち解けていくにつれ、ネッロのリサへの接し方も変わっていきます。最後は互いに良き理解者となれたようでした。ネッロは彼らを救っただけではなく、彼らからも救われたのでしょうね。

 

2011年12月11日  新潟・市民映画館シネ・ウインドにて鑑賞(12月23日まで上映)

おすすめ度:★★★★☆

これから上映の地域も多いようですので、ぜひ映画館へ足を運んでみてください。

 

原題:Si può fare(“やればできるさ”という意味)

監督・脚本:ジュリオ・マンフレドニア
出演:クライディオ・ビジオ、アニータ・カプリオーリ、ジュゼッペ・バッディストン、ジョルジョ・コランジューリ他
2008年 イタリア作品

 

リンク

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