ハードロマンチッカー

“ハードなバイオレンスのが行き着く先はモヤモヤした閉塞感”

舞台は山口県下関の街。グー(=松田翔太)は高校を中退したフリーターで、彼の周りには常に暴力やセックス、クスリなどがあふれています。彼は顔は広いのですが、不良グループやヤクザなどとつるむことのない一匹狼です。街では刑事の藤田(=渡部篤郎)に“何かやったんじゃないか?”とからまれたり、幼い頃からの顔なじみのヤクザの庄司(=真木蔵人)から面倒なものを預けられたりしながら日々を送っています。

ある日、後輩が在日韓国人の家を襲い、人を殺してしまったことを耳にし、その事件の真相を探ろうとグーは動きます。しかし、彼は何も悪いことはしていないのに、彼の行動があちこちで暴力の火種となり、気がつけばグーは下関中のワルに狙われることになってしまいます。

この映画は下関出身のグ・スーヨン監督が自身の描いた小説を映画化したものです。

誰ともつるまず自分の価値観だけで生きようとしているグーは、どんなに暴力をふるっても、彼のモヤモヤとしたやり場のない怒りが晴れることはないように思います。目の前で女の子がレイプされようと、自分を目の敵に思っている連中に囲まれようと、興味がなければ手を出すこともなく、いたってクールに振る舞うところは、グーのかっこ良さだと感じます。

そして、彼の行動が暴力の連鎖を生み出していき、敵に囲まれてしまう様子は、どこまで行っても出口の見えない彼の心が持つ閉塞感とリンクしているかのように思います。

そんなグーを髪をダークな金髪に染め、オールバックにした松田翔太が熱演しています。

かなりエグい暴力シーンの描写が連続する中で、ベテラン陣の演技が結構いい味を出しているように思います。真木蔵人の飄々としながらも純愛をグーに語る庄司、渡部篤郎の一見おちゃらけてはいてもガッチリとやることはやる刑事・藤田、淡島千景の毅然としたグーの祖母などです。

特に小倉でクラブを経営していてグーをクラブのマネージャーに雇いいれた高木(=中村獅童)のキャラクターはユニークです。中村獅童もいつもは硬派で威勢のいい感じの役柄が多いのですが、高木は庄司のいる組と敵対する組の幹部にもかかわらず、「僕は◯◯なんだよね~」とか「刑事って面倒くさいんだよね~」とか物腰柔らかで丁寧な口調で話し、どことなくお金持ちのお坊ちゃまという感じの演技は面白いと思いました。

閉塞感のある街の雰囲気、暴力にはけ口を求める連中など、どことなく昭和のテイストが漂います。東京スカパラダイスオーケストラのロックなサウンドトラックも結構良かったです。

また、下関弁丸出しというところが、映画のテンポを良くしていたり、登場する人々がありのままに自分の感情を出していると思いました。

最後は、グーがどうなったのかも分からず、希望でも絶望でもなく曖昧な感じで終わるところが、グーの行き場のないモヤモヤ感そのものなんだと思います。そんなところが、人が生きていくことや世の中のことは2極論では片付かない難しさなのでしょうね。

 

監督:グ・スーヨン
脚本:具光然
2011年 日本作品

2011年11月27日 T・ジョイ新潟万代にて鑑賞

 

やり場のないモヤモヤ度:★★★☆☆

 

※この作品はR-15+指定で、かなり過激な暴力やセックスの描写がありますので、ご覧になる際はご注意ください。

 

リンク

 映画「ハードロマンチッカー」公式サイト

ハードロマンチッカー@ぴあ映画生活

 

原作小説はこちら


ハードロマンチッカー (ハルキ文庫)

 

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「ハードロマンチッカー」への10件のフィードバック

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