あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(上)

“成長した幼なじみ達が心に併せ持つ「変わったもの」と「変わらないもの」のギャップがいい”

毎回絶妙なエンディングの持って行き方で涙が出そうになった同名のアニメを、脚本家が小説にしたものです。

宿海仁太(じんたん)は、幼いときに母親を亡くしたことや受験に失敗したことなどが心に積み重なり高校生になってから引きこもりになってしまいました。

夏休みの終わろうという時に、幼い頃“超平和バスターズ”という仲良しグループの仲間で、自分の目の前で事故で死んでしまった、本間芽衣子(めんま)がじんたんのところに現れます。

実体化しためんまを認識できるのはじんたんだけです。

めんまはじんたんに“めんまのお願いをかなえてほしい”と頼み、今はそれぞれに成長した超平和バスターズの仲間が集まります。

 

アニメはときどき子どもがお笑い番組を録画していたため、とばしとばしでしか録画されてなくて、最終回も観れませんでした。

アニメよりも人物の気持ちがよく描かれていると思いました。

みんなそれぞれめんまが死んでしまったことは自分のせいだと、それぞれに心に荷物を抱えています。

自分の死を受け入れられないまま、あのときのまま現れためんまは、本当にあどけなくて可愛いですね。まったじんたん達と死んだときと変わらないめんまとのギャップが良く描かれていると思います。“いやべつに星人”とか無著なセリフが子どもらしいです。

一方成長したじんたんは、めんまの登場で何か変わろうとしているけど、なかなか前に踏み出せないというもやもやしたいらだちを抱えている感じがします。。“ネバつく暑さ”という言葉が仁太のやり場のないいらだちや自己嫌悪などをうまく表現していると思いました。

じんたんと同じクラスの安城鳴子(あなる=その名前で呼ぶな!)は高校デビューしたギャルで、ギャル友達の目線を気にしてなかなかじんたんにフランクに接することができません。下巻でデレはあるのか?

久川鉄道(ぽっぽ)はかつては超平和バスターズのおみそでしたが、今は高校に行かずバイトをして世界を回りたいと超平和バスターズの基地にすんでいます。彼はめんまが現れたことを知り、姿の見えないめんまを歓迎し仲間達を盛り上げようとします。

松雪集(ユキアツ)は進学校に進学し、かつてはリーダーだったが、今は引きこもりで落ちぶれてしまったじんたんを見下しています。昔めんまのことが好きだったユキアツは、めんまはなぜ自分のところに来てくれないのかとじんたんに嫉妬し、奇行に走ります。

そして、鶴見知利子(鶴子)はユキアツと同じ学校に通い、いつも本を手にしています。鶴子がユキアツにめんまの格好をしてみせるところは、ユキアツの気持ちがめんまに向いていること嫉妬や失恋、ユキアツへの優しさなどが混ざり合って痛々しいです。

めんまのお願いがなんなのか、その願いは叶うのか、そして超平和バスターズのメンバーは心の傷をどう清算するのか次巻が待ち遠しい。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(上) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
岡田麿里 (著)
メディアファクトリー (MF文庫ダ・ヴィンチ)刊
2011年7月22日発売

2011年11月23日読了

コメントを残す