1911

“ジャッキー・チェンの映画と国への愛情や優しさにあふれた記念すべき映画”

この映画は今年が“辛亥革命”100周年、ジャッキー・チェンの出演100本目という記念の作品です。

辛亥革命当時の中国は腐敗した清王朝の政治により、国民の生活レベルは著しく低く、国土の多くは事実上欧米列強の植民地と化していました。

1911年4月に孫文が率いる革命派による広州での武装蜂起からはじまり、1912年2月に清王朝に皇帝を退位させ、共和制を樹立させた“辛亥革命”を描いたものです。

後に革命の父と呼ばれる孫文(=ウインストン・チャオ)はアメリカで華僑から革命勢力への寄付を募る活動をしていましたが、清王朝が鉄道を担保に欧米列強から資金援助を求めているという事を知って、急遽ヨーロッパへ渡ります。

四国銀行団のパーティーの場には清王朝の公使が同席しているにもかかわらず、銀行団の関係者に対して、ウイットに富んだ流暢な英語で、今の清王朝の現状を語り、資金援助にはメリットがないことを説きます。

国土がどのように列強に支配されているかを例えながら、メスでラムチョップを切り分けるシーンは、医者でもある孫文が今の清国を解剖しているかのようにも思え、彼の聡明さ、強い力に決して逃げ腰にならない意思の強さや勇気を感じます。

 

一方革命軍を率いて国内で戦う黄興(=ジャッキー・チェン)は自分は不死身だと言っていますが、一騎当千というわけでもなく、戦略・戦術に優れた指揮官という感じはしませんでした。

司令官ではあってもごくごく普通の人が親友の孫文と交わした革命の約束を果たそうと、全てをかけて戦っているという感じがします。そんな素朴な情熱がいいですね。

臨場感あふれる戦場のシーンでの彼の様子は司令官だからと威張ることもなく、自ら突撃の先陣を切り、勝利に固執するよりも部下たちの生命を守ることによく気を配っていたかのように思います。

そんな黄興のやさしさは、身分を隠すために夫婦を装っていた徐宗漢(=リー・ビンビン)とのやりとりや、孫文の地位を慮る発言などにも現れています。

友情と信頼を基にした革命への思いと、人々への優しさを持った黄興は、優しさや愛情が内面からにじみ出るジャッキー・チェンらしい役柄で、彼の100本目の映画にふさわしい役だったと思います。また総監督まで務めるほどですから、彼がこの作品に注いだ映画への愛情だけではなく国家への愛情の強さも感じないではいられません。

 

また、孫文と黄興も革命勢力の中では上位の権力を持っていますが、確執をいだくようなこともなく、お互いを信頼し、それぞれの役目を果たそうとするところに、同じ志を持った者同士の友情の強さを感じます。

短い時間軸の中で、国内だけではなく欧米にまでステージが広がり、しかも状況が激変していくこの歴史的事象を扱っているだけに、広く浅くという感じは否めないのがちょっと物足りなかったです。

 

共和制を樹立し中華民国は建国したものの、その後も列強脅威や、日中戦争や文化大革命など長い間混乱が続き、結局は国民は権力に抑圧され続けたのではないかと思います。

そんなことを考えると、彼らの革命の志や理想とした国家像は受け継がれているのか?と思ってしまいます。彼らの革命はゴールではなく、スタート地点に立つことだったのかもしれません。

原題: 辛亥革命
総監督:ジャッキー・チェン
監督:チャン・リー
2011年中国・香港合作映画

2011年11月6日  T・ジョイ新潟万代にて鑑賞

主観的な評価:★★★★☆

 

【リンク】

“1911”公式サイト

1911@ぴあ映画生活

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