サンザシの樹の下で

“社会に抑圧された純粋な恋の行方はとても切なかったです。”

全国公開から3ヶ月後にしてようやく地元新潟で公開となりました。いつも行く映画館でポスターを目にするたびにまだかまだかと公開を待ちわびていました。

 

1970年代の文化大革命まっただ中の中国でのお話です。学生は農民から学ぶべきだという革命の思想のもと、街の高校生(日本でいう大学生)は農村に住み込みで実習をすることが課せられていました。

女子高生のジンチュウ(=チョウ・ドンユィ)も同様に農村に実習に向かいます。

その村にあるサンザシの樹には抗日戦争で日本兵に処刑された中国兵の血が土に染み込み、赤い花が咲くという言い伝えがあり、革命精神の象徴となっていました。

ジンチュウは村長の家で寝泊まりすることになり、そこで村長の家族の一員であるかのような付き合いのある地質調査員の青年スン(=ショーン・ドウ)と出会うのです。

スンはなにかとジンチュウに気をかけてくれ、そうしているうちに二人の中には恋心が芽生えていきます。

しかし、教師になろうとしているジンチュウにとって、その恋は一つ間違うと社会から迫害されてしまうかもしれない、許されない恋なのでした。

偶然二人が一緒にいるところに出くわしたジンチュウの母親は、“恋は認めるが二人にジンチュウが教師に正式採用されるまでは会ってはいけない”と二人に言い渡します。

ヒロインのジンチュウの純朴さ(特に異性のことについては)は今の日本のドラマや私たちの生活からは想像がつかないほどですね。

思想や言論の統制が厳しい中、男女が同じベッドで眠るだけでも妊娠すると書いてある本を読んでそれを鵜呑みにするほどなのです。

最初はスンの好意を避けるようにしていたジンチュウですが、本当は一目惚れだったみたいです。

一番最初に二人が手をつなぐシーンは、二人がプラトニックな恋心を抱きつつ距離感が縮まっていくことをシンボライズしているかのようでとても気にいったシーンです。

スンもジンチュウに対しての下心を全く感じさせず、 ジンチュウに何かしてあげたい、一緒にいたいということだけで彼のキャラクターが成り立っているほど明るくて誠実な好青年っぷりです。

当時、若い男女が人目に触れるところでイチャイチャするのは、革命の思想に反するから許されないというような話を聞いたことがあります。

そんな抑圧的な社会の中で人目を気にしながら逢瀬を重ねる二人の様子にはハラハラしてしまいますね。

場面の作りもなかなか見事だと思います。二人を取り巻く状況説明は映像を使わず文章で簡潔にすますなど、ハラハラする状況の中で恋をする二人の様子だけが濃密に描かれていて、二人にとても感情移入せざるを得ない作り方はさすがだと思いました。

 端的に言ってしまうとよくありがちな、純粋で悲しい恋の物語ですが、それでも涙で心が洗われるような良質なラブストーリーでした。

 

監督 チャン・イーモウ

脚本 イン・リーチュエン
原作 エイ・ミー
出演 チョウ・ドンユィ、ショーン・ドウ、他

2010年中国作品

 2011年10月10日 T・ジョイ新潟万代にて鑑賞

 

リンク

“サンザシの樹の下で”公式サイト

サンザシの樹の下で@ぴあ映画生活

「サンザシの樹の下で」への9件のフィードバック

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  2. ピンバック: LOVE Cinemas 調布
  3. ピンバック: こねたみっくす
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  5. ピンバック: 象のロケット

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