テンペスト

舞台版“ライオンキング”でミュージカル界で革命を起こしたと言われるジュリー・テイモアの監督・脚本により、シェイクスピアの同名戯曲を映画化した作品です。

テンペストはシェイクスピアの最後にして最高の戯曲であるとも言われているようです。

【ストーリー】

ナポリ王アロンゾーとその一行の乗った船は、突然の嵐に襲われ、船は難破してしまいます。

これは孤島に住む魔法使いの女性“プロスペラス”の魔法によるものだったのです。彼女は大公の死後に弟(この物語ではミラノ大公アントーニオ)の陰謀で国を追われ、娘のミランダと海に流され、ある無人島にたどり着きここで暮らしています。この島で魔法を極めた彼女は空気の妖精エアリアルを使い復讐をしようとしているのです。

ナポリ王アロンゾー、王弟セバスチャン、老顧問官ゴンザーロー、ミラノ大公アントーニオ、はこの島にたどり着きましたが、アロンゾーの息子ファーディナンドの姿はなく、彼らはファーディナントを探して島をさまよいます。

一方でファーディナントは父親たちとは別にこの島にたどり着き、父が亡くなったと嘆きこの島をさまよっていたところ、どこからともなく聴こえてくる歌に導かれ、ミランダと出会い、二人は一瞬で恋に堕ちますが、プロスペラスはファーディナントの気持ちを試すための試練を与えます。

さらにプロスペラスの雑事をさせられて彼女に不満を抱いている怪物キャリバンは、漂着した酒造係と道化師と出会い、飲ませてもらった酒に魅せられ、酒造係にプロスペラスを殺してこの島の王になってくれとけしかけます。

さて、プロスペラスのさらなる復讐、恋に堕ちた二人、島に流れ着いた人々の結末はいかに。

 

【感想】

恥ずかしながら本や舞台、映画などあらゆるメディアの中でシェイクスピアの作品に触れたのは初めてです。

原作ではプロスペラスは前ミラノ大公のプロスペローとなっていますが、これを女性に置き換える監督のアイデアは、復讐に燃える女性の強さ、娘と王子の恋愛を見守る母性、罪を赦す慈愛などをより明確に表現しているのではないかと思います。

冒頭の嵐に襲われる船のシーンと、プロスペラスの住まいのシーン以外は、すべて原野が舞台となっています。

映画ですから、多少手を入れたり視覚効果を加えたりはあるでしょうけど、CGで作りこまれた背景や大掛かりなセットではなく、この様な無駄なものを一切削ぎ落した舞台はCGなどとは一味違うファンタジックな世界を作り出していて、より演技や演出をより引き立てているように思います。

プロスペラ役のヘレン・ミレン強さと慈愛に満ちた演技や、ベテラン組の演技も良かったですが、ファーディナント役のリーヴ・カーニーの恋に心焦がす様子、ミランダ役のフェリシティ・ジョーンズの純朴な役作りとキュートなルックス、エアリアル役のベン・ウィショーの中性的であり、感情の表現の繊細さなど、若手俳優はこれから楽しみです。

衣装のデザインにも触れておこうと思います。公族の衣装は黒が基調で、細身であり、ファスナーを巧みに使ったものになっています。ミランダの衣装は純白でふわっとしたノースリーブのワンピースで純朴さをよく表していると思います。また、プロスペラスの黒を基調に玉虫色に光る羽のような衣装も魔法使いの神秘的な部分や復讐へ向ける彼女の怒りを表すのにマッチしています。

このような時代性や地域性を感じさせず、なおかつファッショナブルな衣装は舞台と融合し、とてもファンタジックな世界を作り出すことに成功していると思います。(マーク・ハミル主演の風の惑星を少し思い出しました。)

原野を舞台とするのは自分にはかなり実験的に思います。無駄なものを極限まで削ぎ落した舞台だけに高度な役者の演技、演出、カメラワークなどが必要になってくると思います。それぞれが洗練されううまく融合していて、美しくなおかつエポック・メイキングな映像となっていて素晴らしいです。

今回は映像美とミランダのキュートさにばかり目が行ってしまい、人物の心情まで受け止められませんでしたが、時間を置いてもう一度観てみたいと思います。

 

 

原題:THE TEMPEST

監督・脚本・制作:ジュリー・テイモア

2010年アメリカ作品

2011年9月18日(日)新潟・市民映画館シネ・ウインドにて鑑賞

 

余談になりますが、老顧問官ゴンザーローを演じていたのは“戦場のメリークリスマス”でローレンスさんを演じていたトム・コンティです。10月にはDVDも再発されるのでこちらも楽しみですね。

戦場のメリークリスマス [DVD]

「テンペスト」への1件のフィードバック

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