映画「十三人の刺客」は思いがけない拾い物でした。

先週から公開のこの映画ですが、先週は風邪をひいてしまい寝込んだので昨日観に行ってきました。 
 本当は12月に公開になる「最後の忠臣蔵」を観ようとおもっていたのですが、「役所広司が主演の時代劇」というキーワードが刷り込まれてしまい、間違って前売り券を買ってしまっていたのでした(笑) 

 正直いうとこの映画は「隠し砦の三悪人」のリメイク版みたいに、最近ありがちの時代劇設定の大味なアクションの残念な映画になるのかなとか思っていました。風邪も良くはなっていますが、まだすっきりしないのでどうしようかなとも思いましたが、いつもより寝坊して起きたら天気がいいからこりゃ絶好の映画日和(意味不明)だということで、急いで支度をしてでかけました。(まあ自分が観たい日で電車さえちゃんと動いていれば映画日和なんですけどね) 
本当に今日は日差しが強く外を歩いていると汗ばむ陽気でしたね。 

 この映画は、1963年に公開された映画のリメイクものです。(後で知った話ですが) 
 さて、映画のあらすじは 
 時は、江戸後期の弘化元年(1840年)。将軍の異母弟にあたる明石藩主松平斉韻は、暴虐・無法の振舞い多く、明石藩江戸家老間宮図書は、老中土井大炊頭屋敷前にて、憤死した。幕閣では、大炊頭を中心に善後策を検討したが、将軍の意により、斉韻にはお咎めなし、となった。斉韻の老中就任が来春に内定していることを知る、大炊頭は、やむなく、暗黙のうちに、斉韻を討ち取ることを決意し、御目付役の島田新左衛門を呼び出したのであった。新左衛門は、大炊頭の意をうけ、自身を含めて13人で、参勤交代帰国途上の中山道で、斉韻を討つことにした。(ウイキペディアより) 
というものです。 

 稲垣吾郎が演ずる松平斉韻は本当に残酷なことをしていて、気持ち悪いくらい狂った役柄でした。 

 役所広司が演じる主役の島田新左衛門は、ひょうひょうと人生観や武士の生き方を語りつつも、戦いとなるといかなる手を使ってでも命を果たそうとする役柄です。 

 もう一つ注目すべきは松平斉韻の側近である鬼頭半兵衛(市村正親)で彼は新左衛門と互いに切磋琢磨し親交があったようだ。新左衛門と半兵衛の武士の生き方に対する考え方はこの映画では面白いところだと思った。 

 新左衛門は武士は万民のために役に立ちたいという志を持つのに対して、鬼頭は武士は主君のためなら何でもするという考えであり、松平の行いに反感を持ちながらも忠誠を誓うという違いがあります。 

 新左衛門のもとに最初に集まった11人の刺客は新左衛門の志に共感を得たのではないかと感じます。襲撃に向かう途中、山の民である木賀小弥太(伊勢谷友介)が加わることでラストに膨らみが出ていると思います。 

 とにかくこの映画の見せ場は13人が宿場全体を要塞に作り替え、そこで200人を超える斉韻の一行を迎え撃つ戦いの場面がすごい迫力だった。時計を確認していたわけではないですが、半分くらいはこの戦いのシーンだったような感じがします。 

 ラストサムライや大河ドラマなどの合戦のように広い野原で大軍が入り乱れて戦うという感じではなく、13人の刺客たちは多数の罠を仕掛けた街で相手を混乱させ、斬って斬って斬りまくりますが、それでも相手の人数が多すぎるため自分たちも斬られて一人また一人と力尽きていきます。江戸も終わりの時代となると戦乱を体験した人もないため、人を斬るというのにどれほどの覚悟がいるか、命をなげうってでも志を成し遂げようとしているかということが13人と200人の戦い方の違いになっていると思います。 

 最後は新左衛門とその甥が残り、同じく生き残った半兵衛と松平と対峙します。そして新左衛門と半兵衛が一騎打ちになりますが、2人の剣術は五分でしたが、新左衛門の戦いの場ではあらゆる手段を使ってでも勝たなければならないという考えの違いで半兵衛を打ち破り、松平に迫ります。 

 新左衛門なら松平を切り捨てることはたやすいはずだったのに、最後二人は刺し違えます。なぜ新左衛門が刺し違えることを選んだのかはこの映画の大きな謎のように思います。 

 13人の中で生き残ったのは新左衛門の甥一人だけのはずだったように思いますが、甥が戦いの終わった街をふらふら歩いていると戦いの途中で死んだはずの木賀小弥太が登場し「自分の好きな人を探し出してさらって自由に生きる」ということで、もともと武士にはならないと考えていた甥も武士の道よりも自由を選んだようです。最後に登場した木賀小弥太は本当に生き残ったのか、それとも武士の道よりも自分の自由に生きたいと思っていた甥の見た幻影なのかはわかりません。木賀小弥太のセリフは劇中を通してもう武士の時代は終わろうとしていることを暗示しているようにも感じられます。 

 新左衛門の甥の好きな人と木賀小弥太の好きな人を吹石一恵(映画ではメイクのせいか誰か分からなかった)が2役になっているところもこの映画の不思議なところです。 

 自分はあまりドラマなど観ないので役所広司、松方弘樹、山田孝之、伊勢谷友介、伊原剛志、稲垣吾郎くらいしかしらないのですが、人気のあるアイドル的な俳優で集客しようというより、自分には馴染みがなくてもかなりいい味を出しているなと思う演技をするキャスティングをしていると思います。戦いにいたるまでの前半も間延びすることなくかなりしっかりとした内容になっているので観ていて飽きませんでした。 

 最近の邦画ではエンドロールでイメージソングが流れてそれまでの本編が台無しみたいなこともよくありますが、この映画はイーグルスのDesperadoがイメージソングとしてコマーシャル等で使われていましたが、映画本編では使われなくてよかったなと思います。(イメージソングをエンドロールで使うとタイアップ見え見えという感じでしらけてしまうことも多いです。) 
 しっかりした演技、迫力あるアクションと映像、思いもよらず満足度の高い一本でした。 

 シネコンの中では一番小さいスクリーンでの上映で、人の入りも君に届けとか大奥とか海猿に比べると微々たるものでしたし、時代物ということで年寄りばかりなのかなと思っていたら、結構若い人が多いのにはびっくりしました。(前に武士の一分を観に行ったときは自分が客席の中で最年少ではないかと思うほどでした) 

 今、冬に公開の映画の予告編が流されていますが、来年2月に公開される「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」の予告を初めて観ました。太平洋戦争でサイパンでの戦闘が日米両方の視点で描かれた作品とのことで興味深いです。

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