映画“キャタピラー”

キャタピラー
http://www.wakamatsukoji.org/
監督:若松孝二 主演:寺島しのぶ、大西信満

新潟での公開は14日でその日はお盆で実家に顔を出さなければいけなかったので、今日観てきました。
この映画は新潟でロケが行われたこともあるせいか、インセプションの初日の初回上映よりもたくさんの人が入っていました。

この映画は大東亜戦争で中国へ出征し、正義という名のもとで中国人をレイプし、虐殺し、そして負傷して四肢と言葉と聴覚を失って帰ってきた夫とその妻の戦時中の物語です。
四肢と言葉を失った夫は、食欲と性欲を満たすしかない存在となったにもかかわらず、社会からは軍神様とちやほやされ、そのうちに中国で犯した罪のトラウマに悩まされることになる。
妻は夫の世話に疲れ愛情が薄れていくが、外では軍神の妻として振舞わなければいけないが、そのストレスか夫に対してだんだんサディスティックになっていく。

この作品は戦争の悲惨さや悲しさをテーマとしたと紹介されているが、見方を変えれば現代社会が抱える問題も描かれていると個人的には思う。それがあるからこの映画は重みを増していると言えるのではないだろうか。
当時「お国のために」と軍部から刷り込まれてしまった国民は現在のメディアやネットに溢れる情報を何の価値判断もなく鵜呑みにしてしまう問題につながっていると思うし、外からの見られ方と自分の姿や内面とのギャップに心を病んでいく夫の様子は現在は誰がなってもおかしくない心の病につながると思う。また、夫の世話に性格が破綻していく妻は子育て疲れや介護疲れを描いているとも受け止れます。

自分自身に置き換えてみると、今から3年ほど前にうつ病の状態があまりよくないにもかかわらず、なかなか仕事に就けない焦りから東京に単身赴任をすることになってしまいました。通院しながら仕事をしましたが、病状は悪くなるばかりで8ヶ月ほどしたところでその仕事をやめて家に帰ることになりました。  自分は心がボロボロになっていて、家族に受け止めて癒して欲しかったというのが本音ですが、妻や子どもは自分の変わり果てた様子が怖くて受け入れることはできませんでした。自分が悪いとはいえそのショックは今でも引きずっているように思います。
そんなところをこの映画の主人公達に重ねてしまいました。

この映画は海外でも評価が高かったようですが、単に戦争の悲惨さを描いただけではなく、思想が統制されてしまった社会の中で個人が自由に生きられない苦しさ、現代の社会や個人が抱える病に通じるもの主張しているからなのだと思います。

この作品は全国一斉ロードショーというわけではなく、全国各地で随時上映という感じです。お近くの劇場で上映されていたら是非ご覧になられたらいいと思います。

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